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調剤薬局がカフェになる?雄飛堂、M&Aで台湾茶販売

薬に次ぐ収益源求める
調剤薬局がカフェになる?雄飛堂、M&Aで台湾茶販売

雄飛堂はM&Aをテコに台湾茶を調剤薬局で販売(雄飛堂薬局LaLa赤羽店)

 雄飛堂(東京都北区)は、台湾茶販売に進出する。輸入販売や語学学校を手がけるダッシュ(茨城県坂東市、安蒜(あんぴる)文男社長)の台湾茶輸入販売事業を、約5億4000万円で買収した。従来の大手食品卸、スーパーの販売ルートに加え、全国で42店舗を持つ雄飛堂の調剤薬局で発売する。現在は2億6300万円の台湾茶事業売上高を2017年度に4億円、21年度には15億円に引き上げる計画だ。

 雄飛堂はダッシュの台湾茶事業買収に伴い、ダッシュ本社内に全額出資子会社「久順銘茶(きゅうじゅんめいちゃ)」を設立した。資本金は1000万円。社長は雄飛堂の大塚祐一社長が兼務し、従業員18人と工場・倉庫を引き継いだ。ダッシュは台湾への留学予備校の事業に専念する。

 雄飛堂が販売するのは、台湾に本社を置く久順茶行(台北市)が生産するウーロン茶などの各種台湾茶。低農薬、高品質で、日本では一般的に知られていない緑色のウーロン茶を販売する。国内で知名度のある茶色のウーロン茶と違い焙煎(ばいせん)をしていないため、華やかで深い香りが楽しめるという。

 調剤薬局の業界は、ドラッグストアの参入や診療報酬の改定に伴う薬価の引き下げを受けて、利益率が鈍化している。こうした事業環境の変化を踏まえ、雄飛堂は今後、調剤薬局で台湾茶を楽しめる「久順カフェ」事業を展開し、差別化する。大塚社長は「日本ではあまり知られていない、台湾茶の魅力を多くの人に伝えたい」とし、調剤薬局事業をテコ入れする考えだ。

 雄飛堂は1949年に設立。首都圏を中心に42店舗を出店し、16年3月期の売上高は90億7000万円。
日刊工業新聞2016年9月30日
後藤信之
後藤信之 Goto Nobuyuki ニュースセンター
雄飛堂が販売する「緑色のウーロン茶」には興味を惹かれる。「お茶は健康に良い」とはよく聞く話。薬との相性は良さそうだ。調剤薬局が生き残りのため、健康をキーワードに事業をテコ入れするケースが増えるかもしれない。

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