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MRJ米国到着!どんな試験をするのか

MRJ米国到着!どんな試験をするのか

フェリーフライト中のMRJ(三菱航空機提供)

 三菱航空機(愛知県豊山町)が開発する国産小型ジェット旅客機「MRJ」は28日(現地時間)、米ワシントン州のグラント郡国際空港に到着した。秋から米国での試験飛行を始める。2018年半ばに設定する全日本空輸(ANA)への初号機納入に向けて、MRJ開発の最前線は、日本から米国に移る。

高高度での離着陸や寒冷地試験


 同社が米国での試験拠点とするグラント郡国際空港(ワシントン州モーゼスレイク)は5本の滑走路を備え、晴天率9割と気象条件に恵まれる。日本国内での飛行は1機あたり1日1回が基本だが、「モーゼスレイクなら1日最大3回は飛ばせる」(岸信夫副社長)。同社は試験機を4機持ち込むため、物理的には1日最大12回の飛行が可能。高高度での離着陸試験や寒冷地試験が可能な場所も、全米に点在する。

 米国での試験開始に備え、協力会社の米エアロテック(ワシントン州)などを通じ、現地で新たに300人規模の人材を採用。親会社の三菱重工業で長年、航空機部門を引っ張った巽重文氏(元執行役員)、石川彰彦氏(元執行役員フェロー)の2人を4月1日付で三菱航空機副社長に受け入れ、マネジメント体制も強化した。巽氏は米ワシントン州シアトルの設計拠点に、石川氏はグラント郡国際空港に派遣する。日本の本社と合わせた3拠点体制で総力を挙げて開発を推進する。

日本でも準備着々


 日本国内でもMRJの開発が進展するのに伴い、量産や整備拠点の検討が同時並行で進んでいる。「MRJの“M”はみんなのM」と過去に三菱航空機幹部が言っていた時期もある。”みんな“の期待を乗せたMRJは、米国という新天地で上昇気流をつかもうとしている。


森本社長インタビュー「ソフト改修などあり得る」


 三菱航空機(愛知県豊山町)は国産小型ジェット旅客機「MRJ」の型式証明取得に向け、米国での試験飛行にまもなく臨む。天候が安定している米シアトル郊外に試験1―4号機を持ち込み、試験時間を蓄積する。2018年半ばの量産初号機納入に向け、カスタマーサポート(CS)も強化する。英国で開催中の航空宇宙産業展「ファンボロー国際航空ショー」で、森本浩通社長に試験飛行への意気込みを聞いた。

 ―順調なら1年間で試験飛行が完了すると見ていますが、トラブル発生は想定していますか。
 「試験の結果によっては、機体を改修しないといけない場合がある。そうなった場合の影響が読めない。日本に機体を持ち帰って改修するのは時間の損失なので、現地で改修できる体制を整える」

 ―どのような改修作業があり得ますか。
 「ハードウエア部分は問題ないだろう。必要なのはソフトウエア部分だ。バグの解消やソフトのバージョンアップが考えられる」

 ―CSはどう強化しますか。
 「機体が良ければ売れるわけではない。使い勝手が良く、顧客がもうけられるようにすることが大事だ。リージョナルジェットなので1日に4、5回は飛行する。着陸から次に飛ぶまでの時間を短くできるよう、燃料補給や荷物の積み降ろしを効率化する」

 ―乗客へのサービス向上策をどう考えていますか。
 「機内でスマートフォンなどをWi―Fi(ワイファイ)に接続できるようにすることを検討している。具体的な提供時期は決めていない。1―2時間の短い飛行なので、機内エンターテイメントがない。若い乗客はインターネットに接続できるかを重視する。案外そういう部分で、どの便に搭乗するか決めるものだ」

 ―88人乗りの機体に続いて70人乗りも開発しますが、需要はどれほどありますか。
「88人乗りのほうが需要は多いだろう。米国では組合規定でパイロットが運転できる機体に制限があり、70人乗りの需要がある。だが、それほど多いわけではない。70人乗りは受注がまだなく、試験1号機の部品を作っている段階だ」

2016年7月15日付日刊工業新聞記事の抜粋


日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
MRJの初飛行の時に「初登園する幼稚園児のよう」と愛情たっぷりに表現したのは三菱重工業の大宮英明会長ですが、米国到着した現在は「高校1年生」くらいでしょうか?米国に「留学」し、これからみっちり勉強しなくてはなりませんね。今後は、ワシントン州を中心に全米で試験をする予定です。MRJの試験は、まだまだこれから。

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