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コマツ、工場IoTを5000工程まで拡大。協力会社も参加し生産改革へ

コマツ、工場IoTを5000工程まで拡大。協力会社も参加し生産改革へ

IoTを活用して、設備の稼働状況を見える化する(石川県の粟津工場)

 コマツIoT(モノのインターネット)を活用した生産改善を、自社と協力会社の合計で約5000工程にまで広げる。工場の稼働状況などを見える化するため、2016年度中に15年度比2・6倍となる325台のタブレットを、工作機械やロボットなどの生産設備に配置する。建設機械の需要が低迷する中、IoTを活用した生産の対象を広げ、競争力を高める。

 コマツはすでに溶接ロボットに稼働状況を管理する制御装置を取り付けて、生産工程の改善を進めている。16年度は協力会社も含む国内の生産拠点で、工作機械などに追加で200台のタブレットを配置する。

 タブレットでは工作機械の稼働状況や加工条件などの情報を表示する。これらの情報を生産ラインごとに集約して一元管理し、設備の稼働率向上や故障予防の対策に役立てる。国内で生産性を高めたうえで、海外の工場にもタブレットを導入する。

 協力会社でも同様の取り組みを推進する。協力会社がコマツ向けに稼働する設備の情報を把握するとともに、コマツが協力会社に対して、工程の見直しなど現場改善の活動を後押しする。

 中国の景気減速や資源価格の低迷に伴って世界での建機需要は縮小している。このため利益率や生産技術の向上につながる案件に重点的に投資する方針。IoTもその一つに位置付けており、生産から販売までリアルタイムに連携する体制を目指す。

 建機メーカーでは日立建機も16年度から、主力の土浦工場(茨城県土浦市)などで、IoTの活用と省エネルギー対策を組み合わせた工場の改善を実施。部品の加工状況と電力監視システムとの連携により、工場のエネルギー競争力向上を狙っている。
日刊工業新聞2016年9月21日
長塚崇寛
長塚崇寛 Nagatsuka Takahiro 編集局ニュースセンター デスク
今回は協力工場を含む国内拠点の取り組み。今後は中国や欧州、米国など海外拠点への拡大が期待できそうだ。

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