気まぐれな台風の動きはどこまで予測可能か?
マイクロ波で強弱判定し精度向上へ
夏から秋にかけて日本列島に甚大な被害をもたらす台風。今年は三つの台風が北海道に上陸したほか、太平洋側から東北地方へ台風が上陸するといった観測史上初めての事象が起きている。台風の予報精度の向上は、産業活動や市民生活の備えにおいてますます重要となっている。
気象庁は防災の観点から、台風の進路や強度の予測などの研究を進めている。台風の強度をより高精度に推定するために開発したのが台風の内部を観測できる「衛星マイクロ波観測」技術だ。
従来、気象庁は台風の強度予測に、静止気象衛星「ひまわり8号」の赤外画像を利用した「ドボラック法」を採用していた。衛星赤外画像は雲の頂上の領域の温度を観測する。だが台風中心の上空を雲が覆っている場合、雲の下を観測できなかった。
そこで気象研究所は上空に雲が覆っていても、高度ごとの気温を観測できる極軌道衛星の改良型マイクロ波探査計「AMSU」を使用。台風の中心付近の気温上昇を観測し、中心気圧から強度を推定する。同手法は、ドボラック法で観測できない部分を補う方法として用いている。
一方、米国では温度や風速などを測定する装置「ドロップゾンデ」を航空機で台風の上空から投下し、台風の情報を直接観測している。マイクロ波による観測より精度が高いとされる。
日本でも2017年夏にも、名古屋大学宇宙地球環境研究所の坪木和久教授らがドロップゾンデを小型ジェット機から投下し台風周辺を観測する計画が進行中だ。スーパーコンピューターを利用した模擬実験のモデルに観測データを取り込み、台風の強度と進路をより正確に推測する実証をする。
北海道や東北地域を直撃した台風は「例年であれば日本の東側の海域を通り抜ける台風が、日本に近づいた太平洋高気圧に阻まれその高気圧を避けるようにして日本列島に上陸した可能性がある」(気象庁地球環境・海洋部気候情報課の及川義教予報官)。気候変動は台風の進路や強度を大きく変化させ、その被害を従来以上に予想しにくいものにしている。
リスクを軽減するには台風の科学的知見を積み上げ、災害に迅速に対応する必要がある。その成果は国内の産業や市民生活だけでなく、暴風被害に苦しむ国への支援にもつながると期待される。
気象庁は防災の観点から、台風の進路や強度の予測などの研究を進めている。台風の強度をより高精度に推定するために開発したのが台風の内部を観測できる「衛星マイクロ波観測」技術だ。
従来、気象庁は台風の強度予測に、静止気象衛星「ひまわり8号」の赤外画像を利用した「ドボラック法」を採用していた。衛星赤外画像は雲の頂上の領域の温度を観測する。だが台風中心の上空を雲が覆っている場合、雲の下を観測できなかった。
そこで気象研究所は上空に雲が覆っていても、高度ごとの気温を観測できる極軌道衛星の改良型マイクロ波探査計「AMSU」を使用。台風の中心付近の気温上昇を観測し、中心気圧から強度を推定する。同手法は、ドボラック法で観測できない部分を補う方法として用いている。
一方、米国では温度や風速などを測定する装置「ドロップゾンデ」を航空機で台風の上空から投下し、台風の情報を直接観測している。マイクロ波による観測より精度が高いとされる。
日本でも2017年夏にも、名古屋大学宇宙地球環境研究所の坪木和久教授らがドロップゾンデを小型ジェット機から投下し台風周辺を観測する計画が進行中だ。スーパーコンピューターを利用した模擬実験のモデルに観測データを取り込み、台風の強度と進路をより正確に推測する実証をする。
北海道や東北地域を直撃した台風は「例年であれば日本の東側の海域を通り抜ける台風が、日本に近づいた太平洋高気圧に阻まれその高気圧を避けるようにして日本列島に上陸した可能性がある」(気象庁地球環境・海洋部気候情報課の及川義教予報官)。気候変動は台風の進路や強度を大きく変化させ、その被害を従来以上に予想しにくいものにしている。
リスクを軽減するには台風の科学的知見を積み上げ、災害に迅速に対応する必要がある。その成果は国内の産業や市民生活だけでなく、暴風被害に苦しむ国への支援にもつながると期待される。
日刊工業新聞2016年9月16日