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レシピ検索に役立つのは“アリの行動”!

法政大、採餌行動アルゴリズムを応用。冷蔵庫内の食材+特売品で料理
 法政大学理工学部の伊藤一之教授らは、冷蔵庫内の食材の種類や量などをもとに料理レシピを提案する検索エンジンを開発した。アリの採餌行動をアルゴリズムとし、キーワード検索では難しい、主菜と副菜などを組み合わせた献立を提案できる。冷蔵庫の食材にスーパーの特売品を組み合わせて料理を提案すれば、小売業者による食料品の販促にも応用できる。

 食材データをエサ、レシピを巣穴に見立てた。エサの周辺に他のエサがないと持ち上げる確率が上がり、エサがたまっていると持ち上げる確率が下がる。アリが巣穴間をランダムに行き来すると、特定のレシピに食材が集中する。必要な食材が集まると献立に登録し、600キロカロリーを超えたら完成と判定する。

 具体的には冷蔵庫内の食材の種類や量を入力すると、エンジンがレシピに食材を割り当てて主菜や副菜などの献立を提案。食材を少しずつレシピに配分し、食材が集まるレシピほど優先度が高くなる。すると食材が特定のレシピに集まり、足りない食材の種類や量もわかる。

 冷蔵庫内の食材にスーパーなどの特売情報を組み合わせ、特売品と冷蔵庫の残り物で作る献立を提案でき、タブレット端末で検索可能。検索結果から検索者の好みを推定して料理を提案できる。

記者ファシリテーターの見方


 献立システムのアリは非常にシンプルな人工知能(AI)と言えます。一匹一匹はあまり高度なことはしていませんが、全体としてなかなかな仕事をします。伊藤教授は「検索システムとしてはヒット率はイマイチでも、結果がばらついて検索するたびに違う結果が提案される。ユーザーが良いと思うまでポチポチ検索すれば良い。献立を見ているとレシピの発想が広がって楽しい」そうです。AIの不完全さが良い方向に働いているようです。計算自体は一瞬ですが、わざと時間をかけてアリが働いている様子を見せると愛着が沸くかもしれません。
(日刊工業新聞科学技術部・小寺貴之)
日刊工業新聞2016年9月6日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
アリがエサを探す行動が人間の食にもつながるとは驚きです。

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