木造14階建てを可能にする、耐火木構造部材とは?
シェルター社長・木村一義氏インタビュー
木造建築を手がけるシェルター(山形市、木村一義社長、023・647・5000)が開発した耐火木構造部材「COOLWOOD(クールウッド)」。この耐火木構造部材(柱・梁)は2014年11月に2時間耐火の国土交通大臣認定を取得した。建築基準法上は防火地域で14階建てまでの木造ビルが可能になった。「木造」の都市づくりに挑戦する木村社長に取り組みを聞いた。
―これまでも接合金物を用いて接合部の強度を高める「KES構法」など独自の技術で、木造建築の可能性を広げてきました。新たに木造耐火技術を加えた展開が始まっています。
「『木造都市』をつくろうと、各方面に呼びかけている。クールウッドは建築基準法に基づく2時間の耐火試験に合格した。鉄筋コンクリート造や鉄骨造なみの耐火性能が認められたことになり、これまで都市部で建てられなかった中高層の木造ビルが建てられるようになる。同じ土俵に上がることになった。用途の制限もなくなり、木造建築の可能性は一段と広がる」
―クールウッドはどのように開発しましたか。
「耐火に関してのアイデアは車を運転しているときにひらめいた。『普及している石こうボードを表面に貼るのではなく中に入れて、一定の厚みの木材で表面を囲めばいいのではないか』とシンプルに考えた。核となる構造部材(荷重支持部材)を石こうボードで囲み、その外側を木材で覆ったいわば石こうボードのサンドイッチ構造となった。ポイントは石こうボードの外を囲む木材の厚み。ここがノウハウでもある。試験を繰り返して、最適な厚さが分かった」
―開発の狙いはどこにありますか。
「国産木材を有効に活用できるように考えた。荷重支持部材は材種を限定しない。杉をはじめヒノキ、カラマツなどが使える。集成材も使え、国産木材の利用拡大による林業の振興による地方創生を促したい」
―普及に向けて、どう取り組みますか。
「昨年12月には『日本木造耐火建築協会』(会長=木村社長)を発足した。クールウッドの加工は特殊な材料や工具を必要としない。生産や加工などのノウハウはオープンとし、地域の木材を用い全国各地で生産、加工、供給ができる。当社は地域における林業の6次産業化のつなぎ役としてビジネスモデルを描いている。信頼される『技術』が産業活性化のカギを握る。今後も革新を続けていきたい」
(聞き手=山形支局長・大矢修一)
【チェックポイント/地方創生で存在感】
国内初の接合金物工法「KES構法」の開発など、木にこだわりを持ち続けたシェルター。「2時間耐火技術」を確立し、新しい市場を切り開こうとしている。創業以来、物まねをせずに独自の道を歩んできた。木村社長は「『創造・革新・挑戦』がシェルターのDNA」と強調する。林業の6次産業化のビジネスモデルは「ウィンウィン」の実践。地域の林業、製材、設計事務所、施工業者らと連携して地域活性化に取り組む。地方創生の流れの中で、その存在が高まっている。
―これまでも接合金物を用いて接合部の強度を高める「KES構法」など独自の技術で、木造建築の可能性を広げてきました。新たに木造耐火技術を加えた展開が始まっています。
「『木造都市』をつくろうと、各方面に呼びかけている。クールウッドは建築基準法に基づく2時間の耐火試験に合格した。鉄筋コンクリート造や鉄骨造なみの耐火性能が認められたことになり、これまで都市部で建てられなかった中高層の木造ビルが建てられるようになる。同じ土俵に上がることになった。用途の制限もなくなり、木造建築の可能性は一段と広がる」
―クールウッドはどのように開発しましたか。
「耐火に関してのアイデアは車を運転しているときにひらめいた。『普及している石こうボードを表面に貼るのではなく中に入れて、一定の厚みの木材で表面を囲めばいいのではないか』とシンプルに考えた。核となる構造部材(荷重支持部材)を石こうボードで囲み、その外側を木材で覆ったいわば石こうボードのサンドイッチ構造となった。ポイントは石こうボードの外を囲む木材の厚み。ここがノウハウでもある。試験を繰り返して、最適な厚さが分かった」
―開発の狙いはどこにありますか。
「国産木材を有効に活用できるように考えた。荷重支持部材は材種を限定しない。杉をはじめヒノキ、カラマツなどが使える。集成材も使え、国産木材の利用拡大による林業の振興による地方創生を促したい」
―普及に向けて、どう取り組みますか。
「昨年12月には『日本木造耐火建築協会』(会長=木村社長)を発足した。クールウッドの加工は特殊な材料や工具を必要としない。生産や加工などのノウハウはオープンとし、地域の木材を用い全国各地で生産、加工、供給ができる。当社は地域における林業の6次産業化のつなぎ役としてビジネスモデルを描いている。信頼される『技術』が産業活性化のカギを握る。今後も革新を続けていきたい」
(聞き手=山形支局長・大矢修一)
【チェックポイント/地方創生で存在感】
国内初の接合金物工法「KES構法」の開発など、木にこだわりを持ち続けたシェルター。「2時間耐火技術」を確立し、新しい市場を切り開こうとしている。創業以来、物まねをせずに独自の道を歩んできた。木村社長は「『創造・革新・挑戦』がシェルターのDNA」と強調する。林業の6次産業化のビジネスモデルは「ウィンウィン」の実践。地域の林業、製材、設計事務所、施工業者らと連携して地域活性化に取り組む。地方創生の流れの中で、その存在が高まっている。
日刊工業新聞2015年05月12日 モノづくり面