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新日鉄住金、7-9月期から減産解除でほぼフル稼働に

国内重要回復、経済性が見込めればさらに増産も
新日鉄住金、7-9月期から減産解除でほぼフル稼働に

新日鉄住金君津製鉄所

 新日鉄住金は粗鋼生産の減産を解除し、7―9月期に定常生産に戻す見通しを明らかにした。生産量は四半期で1120万トン程度(単体)を想定する。四半期ベースでの1120万トンは2014年10―12月期以来の高さとなる。今後、市況改善や需要増により経済性が見込めれば、さらに増産する方針だ。

 定常生産は工場がほぼフル稼働し、一定の利益を出せる最適な水準。同社は在庫調整を目的に、生産量を15年4月から定常比1割減とし、その後も低水準の生産が続いていた。

 16年10月以降の下半期については「不確定要因が多いため、上半期(16年4―9月期)と同じ粗鋼生産量で仮置きした」(栄敏治副社長)とし、9月に正確な生産計画を立てる。現時点では国内の自動車、建築向けの需要回復が見込め「期待として国内は少し増える」(同)ことから、7―9月期並みの生産水準を継続できそうだ。

 7―9月期の生産量1120万トンは、14年7―9月期の1159万トンより約3%少ない。ただ16年3月に君津製鉄所(千葉県君津市)第3高炉を休止したこともあり、同社全体の設備能力が減少している。この結果、1120万トンが「巡航速度(最適な水準)かどうかは経済性次第だが、数量規模としてはコンフォタブルな水準」(同)としている。

日刊工業新聞2016年8月12日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
同社の2016年4―6月期業績は経常損益が120億円の赤字(前年同期は844億円の黒字)。粗鋼生産量こそやや回復したものの、販売価格の下落と円高による在庫評価損の増大、海外資産の目減りなども重なり4年ぶりの赤字転落。鋼材の平均販売価格は前年同期の1トン当たり8万2800円から6万8100円へ2割近く下落。これだけで経常損益が1150億円悪化。さらに平均為替レートが10円も円高に動いた直接の影響で同じく330億円、原料などの在庫評価差で290億円それぞれ悪化した。17年3月期予想は、生産・販売量が回復してくる上、在庫評価差や為替影響が消え、コスト削減も上積みすることで1300億円の黒字を見込む。同社は3月に君津製鉄所(千葉県君津市)第3高炉を休止。その分、採算分岐点が低くなってはいるが、それでも減産以前の2年前の水準には及ばない。生産増による下期の利益増をほぼ当てにしていないことになる。

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