笑顔の二人の大臣、その胸中は
一人は安倍改造内閣の目玉人事。一人は都知事選敗北で責任
**経済産業相・世耕弘成氏「下請法の運用を強化」
―中小企業政策の方向性について。
「下請法の運用を強化したい。大企業との取引条件の改善が重要だ。事業承継支援では行き詰まってからではなく、早い段階から対象とし、別の地域に引き受けてもらう事を含めて高度化したい。IT導入で生産性を高め、経営力を強化する。政権の経済政策『アベノミクス』の効果を地方にしっかり波及させる」
―厳しい政策も必要では。
「ムチを入れるような状況ではない。特に地方は頑張っているが、報われる環境が整わない。従来の下請け取引関係で中小企業が泣く構造がある。ただ、中小企業の経営者も働き方を改革し、生産性の高い分野に労働力を移すことが必要だ」
―第4次産業革命は政策の柱です。
「総理から『成長戦略の切り込み隊長』と言われており、しっかり取り組む。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)を活用する自動運転技術は日本にとって非常に重要。この分野で世界をリードし、自動車産業がこれからもトップであり続ける政策を打たねばならない」
―環太平洋連携協定(TPP)早期発効に向けたスタンスは。
「日本は大筋合意の過程でリーダーシップを発揮し、大きく貢献した。5月の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)で確認しており、誠実に実行することが重要だ。米国政府も同じ気持ちだろう。国際的に大筋合意を約束しており、米政府が批准まで持って行く努力をするのは当然のことだ」
―福島再生も最重要課題です。
「廃炉汚染水対策には困難な課題があるが、日本の技術を総動員し、きちんと進める。再生可能エネルギーやロボット技術の集積地にするなど、未来志向の産業拠点にすることも重要だ。9日に福島第一原子力発電所を訪問し、現場の状況をよく確認したい」
―原子力政策についての考え方は。
「防災対策や避難計画について、詳細に個別ケースに至る所まで決められていることを丁寧に説明しつづけることが必要。私は(NTTの)広報部出身。民間企業の広報は相手がどれだけ理解して頂けたか測定し、初めて完了する。民間の精神でやりたい」
―難航中の出光興産と昭和シェル石油の経営統合交渉に対する考えは。
「経営陣と創業家の相互理解が進み、調整の進展を期待したい。石油元売り業界は国内需要が減少し、国際競争力を強化しなければならない。再編は大きな流れで、避けて通れない」
(聞き手=鈴木真央)
内閣改造で経済再生担当相に留任した石原伸晃氏は4日、日刊工業新聞社などのインタビューに応じ、9月から始まる臨時国会で、11月8日の米大統領選までに環太平洋連携協定(TPP)承認案と関連法案の「成立のめどを付ける」と意気込みを語った。選挙後にオバマ米大統領が実際に退任する来年1月までの「レームダック期間」内に米国議会がTPP関連法案を採決できるよう、日本政府としてお膳立てする考えだ。
TPP担当相も務める石原氏は9月からの臨時国会で、地域ブランド品の保護や著作権保護期間の延長などを含む一連の法案の審議を急ピッチで進める意向。ただ、7月の参院選では農業が盛んな東北地区で自民党が相次ぎ敗れるなど逆風も吹く。審議と並行し、農業改革や農林水産品の輸出拡大支援もまとめる必要がある。
また2020年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化について「掲げた旗は降ろさない」一方で、「ただ歳出を切り詰めれば良いというわけではない」と、2日に閣議決定した経済対策で企業投資拡大とデフレ脱却を実現するのが優先課題とした。
現状では失業者や生活保護申請者の減少もあり、「歳出削減は順調だ」との見方を示した。今後、医療費などの膨張が懸念されている点については、健康にまつわるビッグデータ(大量データ)を生かした「データヘルスケア」の普及により、「20年以降、費用がピークアウトする可能性もある」とした。
デフレ脱却の実現時期については、「国民がデフレを脱却したと感じた時がデフレ脱却だ」という持論を述べたが、実現時期は明示しなかった。
―中小企業政策の方向性について。
「下請法の運用を強化したい。大企業との取引条件の改善が重要だ。事業承継支援では行き詰まってからではなく、早い段階から対象とし、別の地域に引き受けてもらう事を含めて高度化したい。IT導入で生産性を高め、経営力を強化する。政権の経済政策『アベノミクス』の効果を地方にしっかり波及させる」
―厳しい政策も必要では。
「ムチを入れるような状況ではない。特に地方は頑張っているが、報われる環境が整わない。従来の下請け取引関係で中小企業が泣く構造がある。ただ、中小企業の経営者も働き方を改革し、生産性の高い分野に労働力を移すことが必要だ」
―第4次産業革命は政策の柱です。
「総理から『成長戦略の切り込み隊長』と言われており、しっかり取り組む。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)を活用する自動運転技術は日本にとって非常に重要。この分野で世界をリードし、自動車産業がこれからもトップであり続ける政策を打たねばならない」
―環太平洋連携協定(TPP)早期発効に向けたスタンスは。
「日本は大筋合意の過程でリーダーシップを発揮し、大きく貢献した。5月の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)で確認しており、誠実に実行することが重要だ。米国政府も同じ気持ちだろう。国際的に大筋合意を約束しており、米政府が批准まで持って行く努力をするのは当然のことだ」
―福島再生も最重要課題です。
「廃炉汚染水対策には困難な課題があるが、日本の技術を総動員し、きちんと進める。再生可能エネルギーやロボット技術の集積地にするなど、未来志向の産業拠点にすることも重要だ。9日に福島第一原子力発電所を訪問し、現場の状況をよく確認したい」
―原子力政策についての考え方は。
「防災対策や避難計画について、詳細に個別ケースに至る所まで決められていることを丁寧に説明しつづけることが必要。私は(NTTの)広報部出身。民間企業の広報は相手がどれだけ理解して頂けたか測定し、初めて完了する。民間の精神でやりたい」
―難航中の出光興産と昭和シェル石油の経営統合交渉に対する考えは。
「経営陣と創業家の相互理解が進み、調整の進展を期待したい。石油元売り業界は国内需要が減少し、国際競争力を強化しなければならない。再編は大きな流れで、避けて通れない」
(聞き手=鈴木真央)
経済再生相・石原伸晃氏「TPP関連の決着急ぐ」
内閣改造で経済再生担当相に留任した石原伸晃氏は4日、日刊工業新聞社などのインタビューに応じ、9月から始まる臨時国会で、11月8日の米大統領選までに環太平洋連携協定(TPP)承認案と関連法案の「成立のめどを付ける」と意気込みを語った。選挙後にオバマ米大統領が実際に退任する来年1月までの「レームダック期間」内に米国議会がTPP関連法案を採決できるよう、日本政府としてお膳立てする考えだ。
TPP担当相も務める石原氏は9月からの臨時国会で、地域ブランド品の保護や著作権保護期間の延長などを含む一連の法案の審議を急ピッチで進める意向。ただ、7月の参院選では農業が盛んな東北地区で自民党が相次ぎ敗れるなど逆風も吹く。審議と並行し、農業改革や農林水産品の輸出拡大支援もまとめる必要がある。
また2020年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化について「掲げた旗は降ろさない」一方で、「ただ歳出を切り詰めれば良いというわけではない」と、2日に閣議決定した経済対策で企業投資拡大とデフレ脱却を実現するのが優先課題とした。
現状では失業者や生活保護申請者の減少もあり、「歳出削減は順調だ」との見方を示した。今後、医療費などの膨張が懸念されている点については、健康にまつわるビッグデータ(大量データ)を生かした「データヘルスケア」の普及により、「20年以降、費用がピークアウトする可能性もある」とした。
デフレ脱却の実現時期については、「国民がデフレを脱却したと感じた時がデフレ脱却だ」という持論を述べたが、実現時期は明示しなかった。
日刊工業新聞2016年8月5日