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LINEと渋谷区の協定で行政サービスの効率化につながるか

シェアリングエコノミーと地方自治体の可能性
 LINEは3日、地域課題の解決に向けて行政サービスのIT化を進めることで渋谷区と協定を締結した。コミュニケーションアプリ「LINE」を通じ、子育て関連情報の配信などの行政サービスを展開する。将来はLINEの決済機能を活用した寄付活動なども構想する。LINEが地方自治体と協定を結ぶのは初めて。

 協定名は「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定」。今後、両者はLINEのアプリや知見を活用し子育て支援サービスを展開する。具体的には区内に居住する妊婦に対して、出産予定日に応じて必要な検診を通知するなど多様なサービスを提供する。

 また行政サービスに関しては、LINEで気軽に相談できる環境を整備する。小・中学生を対象にしたITリテラシー教育の実施なども予定する。

 同日、LINEの出澤剛社長は都内で協定の締結式を開き「住民と行政の距離を近づけられるように役に立ちたい」と力を込めた。一方、渋谷区の長谷部健区長はLINEを活用したサービスにより「多くの区民などにアプローチできる」と期待を述べた。

日刊工業新聞2016年8月4日
前田亮斗
前田亮斗 Maeda Ryoto
LINE@の法人アカウントとして自治体が情報に取り組んでいる事例はいくつかあるが、今回の協定で行政サービスの効率化がどの程度進むか注目してウォッチしていきたい。具体的な協定内容の一つに「様々なシェアリングサービスの実現を目指す」という項目が挙げられているが、宮崎県日南市がシェアリングエコノミー都市宣言を先日発表するなど、地域課題解決手法の一つとしてシェアリングエコノミー領域は今後も地方自治体に広がっていく可能性が高い。

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