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下町ボブスレー、困った時の「柏さん」

金属加工のキーパーソンに聞く
下町ボブスレー、困った時の「柏さん」

カシワミルボーラの柏良光代表

 カシワミルボーラの柏良光代表は、下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会で、ブレーキ部分の切削など各種部品加工を担当する。「金属加工で困ったら柏さんに聞く」と言われるほどメンバーからの信頼も厚い。難しい加工に挑む柏さんに話を聞いた。

「想像もつかないような加工方法の提案がある」


 ―ソリができるまでの工程を教えてください。
 「ソリを設計しているマテリアルの鈴木信幸部長が各部品を図面に起こし、説明会で公開する。その後の加工方法は各社に任されており、それぞれできるものを持ち帰る。そしてできあがったものを組み立て、ソリを完成させる」

 ―技術面からみても参加企業の増加が望ましいようですね。
 「持っている機械も技術も違う企業同士で加工方法を提案し合うため、新たな技術を学べる。特に新しく参加する人からは、想像もつかないような加工方法の提案がある。大田区の技術を底上げする意味でも、多くの企業に参加してほしい」

 ―今回製造する4台の図面を見た感想は。
 「部品によっては形状に変化があり、軽量化に取り組んでいる様子がみえた。完成が楽しみだ。加工する者としては、組み立てやすいようにサポートしていきたい」

 ―今後、プロジェクトをどのように生かしていきたいですか。
 「プロジェクトを通じて、加工以外のコスト削減も含めて相談し合える関係性ができた。参加企業と知恵を出し合い、日々進化を続ける技術に対応していきたい」



ステンレス加工、「創意工夫」強み


 カシワミルボーラは、工作機械などで使われる精密部品の加工を手がける。主力はステンレス加工。3台のマシニングセンター(MC)と最新の工具を使い、高精度の部品を仕上げている。

 同社の強みは「創意工夫」。多くはない既存の設備を駆使し、複雑形状の加工を可能にする。工具の進化に合わせた加工方法の研究も怠らないという。近年は独自の治具製造にも取り組む。機械油などを洗浄するシステムを構築し、作業の確実性を上げた。各種効率の改善で、コスト削減にも挑んでいる。
日刊工業新聞2016年8月3日 中小企業・地域経済面
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
写真で柏さんの横にある機械は、オークマのマシニングセンターでしょうか?元・機械担当として気になるところです。

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