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「文明の衝突」を乗り越えていく物流

本間耕司ヤマトロジスティクス社長「異文化の受け入れと相互理解が重要」
 子供の頃からの「活字中毒」で、大人向けも子供向けも関係なく、家中の本を読みあさっていた。学生時代は筒井康隆さんや半村良さんなどのSF物をよく読んでいた。今は、グループで海外事業を手がける会社にいることもあり、海外出張の時に空港で、経済本、エッセー、歴史物、パズルの4種類を組み合わせて買い、帰国までに読んでしまうというスタイル。読書量は学生時代よりかなり減ってしまって、年間60―80冊だ。

 作家で言えば、社会人になった頃から、好んで読んでいるのは椎名誠さん。椎名さんのエッセーは気楽に読めるので、「怪しい探検隊シリーズ」や「新宿赤マントシリーズ」など、一連の著書のほとんどを読んでいる。椎名さんがいつまでも若い頃と同じように世界中でアクティブに活動しているのを読むと、わくわくするし、活力をもらえる。

 海外事業の担当となり、いろんな国の人と仕事で接する中で非常に役立っているのは、米国の政治学者、サミュエル・フィリップス・ハンティントン氏が書いた「文明の衝突」だ。この中でハンティントン氏は、東西冷戦後、文明と文明の対立が起こることを説いている。この本が書かれた1990年代に、すでに現在の西洋文明とイスラム文明の衝突を予測しているのが興味深い。

 中華文明についても分析しているのだが、マレーシアやシンガポールなど、中華圏の人々とビジネスをする機会が多いので、彼らの思想や宗教観を理解することができた。

 物流はサービスなので、技術や製品と違い、互いの文化や価値観を理解せずに、無理やり押しつけることは難しい。サービス業の海外進出には、互いに異文化を受け入れることがより重要になることを痛感している。この本を参考に、社員にも常々、現地でのコミュニケーションの重要性を伝えている。
日刊工業新聞 2016年07月25日
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
本間社長の趣味は家庭菜園とソフトボール。休日は地元ソフトボールチームで練習に汗を流したり、父から引き継いだ菜園で土をいじったりすることが多く、休日をアウトドアで過ごしていることが、学生時代に比べて読書量が減った理由の一つでもあるとか。「晴れている休日はやることが多いが、雨の日はすることがないので、買いためていた本を読む」と、晴耕雨読を地で行ってます。

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