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三井物産がアジアで中間所得層向け病院事業

「医療ツーリズム」需要の商機も探る
三井物産がアジアで中間所得層向け病院事業

コロンビアアジアグループの公式ページより

 三井物産はアジアで、中間所得層向けの病院事業に参画する。インドやマレーシアで病院を運営するコロンビアアジアグループの持ち株会社に、約105億円を出資した。三井物産が出資するほかの病院グループや医療サービス会社などとの連携を通じて、ヘルスケア関連事業の拡大につなげる。

 このほど、同グループの持ち株会社である米国インターナショナル・コロンビア(ワシントン州)の第三者割当増資の引き受けと、同社の既存株主からの株式取得により16・2%を取得した。

 コロンビアアジアグループは1994年に設立された。同グループは現在、マレーシアと印、インドネシア、ベトナムの4カ国で合計27病院と1クリニックを運営している。主に中間所得層を対象に、外来と簡易入院治療を提供している。

 同グループが病院を運営する4カ国は、経済発展や高齢化に伴って、今後も医療費の増加が見込まれる。その一方で、病院やクリニックといった医療機関の不足などにより、安全な医療を提供する民間病院のニーズが高まっている。
日刊工業新聞2016年7月29日
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
人口の増加や経済発展に加え、ライフスタイルの変化などで、アジアの医療ニーズは拡大している。一方で指摘されるのが慢性的な医療施設の不足。資金力に乏しいアジアの医療機関と、現地のニーズや他国からの「医療ツーリズム」需要など商機を探る日本の商社。両者の“距離感”がより密接になっていきそうだ。

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