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「JALと同じところに飛んでも仕方がない」 ANAHD・片野坂新社長に聞く

メキシコ、トルコ、豪州――国際線拡大へ強い意欲、
「JALと同じところに飛んでも仕方がない」 ANAHD・片野坂新社長に聞く

インタビューに応じる片野坂氏

 《4月1日の社長就任からここまで空港など現場を精力的に回った》

 「外国人やシニアなど利用者が多様化し、信頼を得る努力がこれまで以上に重要になる中、空港や客室の社員と会話をすると活気を感じた。現場が会社を支えていると実感した。社長として頑張りたいと改めて思った」

 《ANAは2014年に国際線の輸送力や輸送量で86年の参入以来初めて日本航空(JAL)を上回った。今後も国際線中心の成長戦略は明確だ》

 「メキシコ、トルコ・イスタンブール、豪州・シドニーは機材の性能が上がればそう遠くない将来に就航できる。国際線はJALと同じところに飛んでも仕方がない。これまではビジネス需要を中心に考えていたが、今後は東南アジアなど、リゾート路線も大きなターゲット。国際線のネットワークは過去の航空需要のデータばかりみていても新しい可能性があるところは発見できない。10年後に景色が変わっているところはどこか、地政学をしっかり勉強しないといけない」

 《民事再生手続き中のスカイマークへの出資が決まり、国内の航空市場は、JALとの大手2社体制に戻る》

 「JALはあと2年、新規路線の拡大などを抑制されている。この2年間でネットワークを広げ、次のビジネスの布石を打つことが何より大切になる。成田と羽田は東京オリンピックに向かって発着枠も、訪日外国人も増えていく。航空会社にとっては上り調子の経営環境で、大きく帆を張って先行できるか。この2年が大事になる」

 《自らの性格を南国生まれで根が明るく、楽観的と分析。これまで、仕事やプライベートで起こった思いがけない困難も、努力と前向きな性格で乗り切ってきた自信がある》
 

 【略歴】片野坂 真哉氏(かたのざか・しんや)
79年(昭54)東大法卒、同年全日本空輸入社。09年上席執行役員、11年常務、12年専務。13年ANAホールディングス副社長。鹿児島県出身、59歳。4月1日就任。
日刊工業新聞 2015年05月08日 建設・エネルギー・生活面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
個人的には、懸案の「海外での知名度向上」にどう取り組むかも気になります。

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