流れ星から降ってくるチリやホコリから宇宙の謎を知る!
千葉工大が流星観測プロ始動
千葉工業大学が、地球の大気に降り注ぎ流れ星の原因となる塵やホコリを分析するプロジェクトを進めている。国際宇宙ステーション(ISS)に設置した流星観測カメラシステム「メテオ」が7日から観測を開始。小型ロケットを地上から飛ばし上空100キロメートルの塵やホコリを回収するための試みも始まった。こうした塵を放出する母天体の解析により、惑星探査に匹敵する成果が期待される。
願い事を唱えると叶うとされる流れ星。その正体は、彗星(すいせい)や小惑星が放出する塵が地球の大気にぶつかった際の発光現象だ。こうした現象は地球の高度100キロメートル付近で起きている。
惑星探査研究センターの荒井朋子上席研究員らは、ISSの米実験棟「デスティニー」内に設置されたメテオで初期観測を開始した。観測対象は1ミリ―10ミリメートルの塵で、高感度カメラを使った流星群の観測が始まった。2年間観測し、塵の質量や化学組成などの観測データを解析。塵を放出した母天体の特性の解明を目指す。
初期観測で26個の流星を確認した。ISSでは、天候に左右されずに観測できる大きな利点がある。荒井上席研究員は「今後、地上での観測の5倍に相当する1時間当たり500個程度の流星を観測できるのでは」と期待を寄せている。
荒井上席研究員らは米航空宇宙局(NASA)などと連携し2013年にプロジェクトを開始した。民生品を使うことで装置の開発期間の短縮やコスト低減を実現している。
一方、地球の上空100キロメートル付近に漂っている数マイクロメートル(マイクロは100万分の1)程度の小さな塵を直接回収する取り組みも始まった。工学部機械電子創成工学科の和田豊准教授らは、樹脂を燃料にした小型観測ロケット「CSSR」の打ち上げに成功。伊豆大島差木地広場(東京都大島町)からロケットを打ち上げ、高度4・9キロメートルに達したことを確認した。
今回の成果を基に、19年にも高度30キロメートルに到達する観測ロケットの開発を目指す。そこで現在開発中の粒子の回収装置を打ち上げる計画だ。
和田准教授らは従来の樹脂材料を改良したオリジナルの樹脂を開発。燃焼速度を従来の樹脂材料の2―3倍にし、ロケットの推進力を向上させた。和田准教授は「25年をめどに高度100キロメートルへロケットを飛ばしたい」と意気込む。
流れ星の分析から宇宙の謎を解き明すことができるか。その成果は多くの科学的知見をもたらし、宇宙関連産業がさらに広がる可能性がある。
(文=冨井哲雄)
上空100kmを観測
願い事を唱えると叶うとされる流れ星。その正体は、彗星(すいせい)や小惑星が放出する塵が地球の大気にぶつかった際の発光現象だ。こうした現象は地球の高度100キロメートル付近で起きている。
惑星探査研究センターの荒井朋子上席研究員らは、ISSの米実験棟「デスティニー」内に設置されたメテオで初期観測を開始した。観測対象は1ミリ―10ミリメートルの塵で、高感度カメラを使った流星群の観測が始まった。2年間観測し、塵の質量や化学組成などの観測データを解析。塵を放出した母天体の特性の解明を目指す。
ISSで観測
初期観測で26個の流星を確認した。ISSでは、天候に左右されずに観測できる大きな利点がある。荒井上席研究員は「今後、地上での観測の5倍に相当する1時間当たり500個程度の流星を観測できるのでは」と期待を寄せている。
荒井上席研究員らは米航空宇宙局(NASA)などと連携し2013年にプロジェクトを開始した。民生品を使うことで装置の開発期間の短縮やコスト低減を実現している。
一方、地球の上空100キロメートル付近に漂っている数マイクロメートル(マイクロは100万分の1)程度の小さな塵を直接回収する取り組みも始まった。工学部機械電子創成工学科の和田豊准教授らは、樹脂を燃料にした小型観測ロケット「CSSR」の打ち上げに成功。伊豆大島差木地広場(東京都大島町)からロケットを打ち上げ、高度4・9キロメートルに達したことを確認した。
今回の成果を基に、19年にも高度30キロメートルに到達する観測ロケットの開発を目指す。そこで現在開発中の粒子の回収装置を打ち上げる計画だ。
ロケット改良
和田准教授らは従来の樹脂材料を改良したオリジナルの樹脂を開発。燃焼速度を従来の樹脂材料の2―3倍にし、ロケットの推進力を向上させた。和田准教授は「25年をめどに高度100キロメートルへロケットを飛ばしたい」と意気込む。
流れ星の分析から宇宙の謎を解き明すことができるか。その成果は多くの科学的知見をもたらし、宇宙関連産業がさらに広がる可能性がある。
(文=冨井哲雄)
日刊工業新聞2016年7月27日 科学技術・大学面