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スマホ部品の実力者がGEと次世代パワー半導体の回路を共同開発

太陽誘電が挑む高い変換効率と低コスト化の両立
 太陽誘電は25日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)のベンチャーキャピタル部門であるGEベンチャーズと、次世代半導体向け電子回路の商用化に取り組むと発表した。独自のパッケージング技術により、ワイヤボンドなく電子部品を内蔵した回路を作る。高い密度で部品を搭載でき、変換効率の高い技術として産業機器への採用を見込む。商用化の時期は、2020年以降とみられる。

 炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)をベースにした次世代パワー半導体向けの電子回路。大電流・高電圧に耐えられるため、鉄道車両や電力設備など産業機器への採用を見込んでいる。またIoT(モノのインターネット)関連機器やウエアラブル機器への活用も検討する。

 両社の共同開発体制では、GEベンチャーズが積層によるパッケージング技術「POL(パワー・オーバー・レイ)」を提供する。これによりワイヤボンドなく、SiCやGaN製の半導体をベースにし、各種の電子部品を搭載した電子回路を実現できる。従来技術に比べて電子回路の機能的密度は3倍、変換効率は10%以上向上できるという。

 一方、太陽誘電は各種の電子部品や自前のパッケージング技術を持ち寄り、競争力ある製品に仕上げる。GEベンチャーズはGEの事業部門。技術者や研究者ら約4万8000人が在籍し、技術ライセンス提供を含めて支援する。POL技術による日本企業との開発は2社目。
日刊工業新聞2016年7月26日
後藤信之
後藤信之 Goto Nobuyuki ニュースセンター
SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を採用した次世代パワー半導体は、価格が高いことが普及のネックになっている。大手電機の幹部は「コスト高はウエハーレベルの課題。簡単には解消できない」と話す。であるならば、ひたすら性能向上を図って、顧客の価格への不満を打ち返すのも一つの道。大陽誘電とGEの共同開発の成果に期待したい。

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