ペット、子育て、防犯、蔵…個性を押し出した賃貸住宅が増えている!
大手住宅メーカー、選ばれる物件開発
大手住宅メーカー各社が賃貸住宅商品の開発で個性を競っている。相続税対策として賃貸住宅を建てるニーズは大きくなっているが、誰もが賃貸住宅に向いた条件の良い土地を用意できるとは限らない。一方で賃貸住宅の借り手は東京都内など一部を除き、今後は減少していくことが予想される。借り手に選ばれる魅力的な物件をどう提供するかが重要だ。
【ペット共生型】
個性的な賃貸住宅でひときわ目立つのが旭化成ホームズ。同社が手がけるペット共生型賃貸住宅「+(プラス)わん」「+(プラス)にゃん」はいわゆる「ペット可」の物件と違い、入居者全員がペットを飼うことを前提にしている。1都3県に限定した商品展開ながら、販売は計2000戸を超えた。
ペットと飼い主を入居前にチェックして適性を見極め、入居後もトレーナーによるしつけ教室や交流イベントを開催するなど周到な仕組みを用意している。専用の設備が必要になるため建築費は高めになりがちだが入居者同士のトラブルも少なく、オーナーの満足度は高いという。
また、同社の子育て世代向けの賃貸住宅「母力(ぼりき)」も、入居者の募集から入居者同士の顔合わせ、懇親会の開催などコミュニティー形成に入念な手間をかけるのを特徴としている。敷地内には親同士の交流スペースを設け、間取りや室内も他の家族とつながりを持ちやすいよう設計した。完成済みの3物件は常に入居待ちの人気だ。
【女性の安全】
大和ハウス工業は女性をターゲットにした防犯配慮型の賃貸住宅「D―room(ディールーム)SW」の販売が好調に推移している。警備会社と提携したホームセキュリティーシステムを提供するほか録画機能付きのインターホン、目隠しになる1階部分の植栽など安全・安心に工夫を重ねた。
同社によると単身者の入居者比率で女性が占めるのは3割ほど。特に1階部分は2割以下にとどまるが「可処分所得は男女にそれほど差がなく、ニーズはある」(同社)。単身世帯の多くの女性が懸念するセキュリティーの課題をクリアすることで潜在需要の掘り起こしに成功している。
4月には「バージョン・アップ5」を投入。部屋の片づけや洗濯、水回りの掃除などを代行するハウスキーパーサービスなど、多忙な女性のライフスタイルをサポートする機能やサービスを追加した。
【デザイン重視】
三井ホームの注文賃貸住宅商品「デザインメゾン」も女性目線を意識した開発コンセプトを特徴にしている。もともと同社の注文賃貸住宅は外観デザインなどが評価され、女性の入居者率が高い。デザインメゾンでは一戸建て住宅さながらの三つの外観デザインを用意。設備面でも手入れのしやすさを重視した設備や壁面を有効活用した収納、バスルームや洗面化粧台など設備を含めたトータルコーディネートで差別化を図っている。
【自分仕様の空間】
ミサワホームの賃貸住宅商品「ベルリードカムトゥルー」は同社独自の大きな収納空間「蔵」を1階各戸に設けて差別化を図った。1階部分の入居率向上も狙う。さらに1階と2階の全戸にリビングや寝室に比べて約1メートル床面を高くした2畳ほどの小部屋を設けるなど、入居者が自分のライフスタイルに合わせて活用できる空間をつくっている。
【相続税増税】
住宅メーカー各社が商品開発に力を入れている背景には相続税の実質増税がある。2015年から相続税の基礎控除が大幅に引き下げられ、これまで相続税とは無関係と考えていた人びとが相続税対策に動きだした。賃貸住宅や二世帯住宅は税制上の特例を受けられる。賃貸住宅市場の活況は大手住宅メーカー各社の収益を押し上げており、消費増税の影響を受けた一戸建て住宅の低迷を補う形となっている。14年の新設住宅着工戸数によると「貸家」は前年比1・7%増の約36万戸で、3年連続で増えた。
15年度も賃貸住宅市場は活況が続く見通し。相続税対策は一過性のテーマではなく、高齢化の進展に伴って一層ニーズが高まる。一方ではバブル期以前に建てられた築35年を超える賃貸住宅は約280万戸という試算もあり、このうちの相当数が民間のアパートと推定される。今後は建て替え需要も大きくなりそうだ。持ち家志向が薄まる中、さらに魅力的な賃貸住宅が登場することを期待したい。
【ペット共生型】
個性的な賃貸住宅でひときわ目立つのが旭化成ホームズ。同社が手がけるペット共生型賃貸住宅「+(プラス)わん」「+(プラス)にゃん」はいわゆる「ペット可」の物件と違い、入居者全員がペットを飼うことを前提にしている。1都3県に限定した商品展開ながら、販売は計2000戸を超えた。
ペットと飼い主を入居前にチェックして適性を見極め、入居後もトレーナーによるしつけ教室や交流イベントを開催するなど周到な仕組みを用意している。専用の設備が必要になるため建築費は高めになりがちだが入居者同士のトラブルも少なく、オーナーの満足度は高いという。
また、同社の子育て世代向けの賃貸住宅「母力(ぼりき)」も、入居者の募集から入居者同士の顔合わせ、懇親会の開催などコミュニティー形成に入念な手間をかけるのを特徴としている。敷地内には親同士の交流スペースを設け、間取りや室内も他の家族とつながりを持ちやすいよう設計した。完成済みの3物件は常に入居待ちの人気だ。
【女性の安全】
大和ハウス工業は女性をターゲットにした防犯配慮型の賃貸住宅「D―room(ディールーム)SW」の販売が好調に推移している。警備会社と提携したホームセキュリティーシステムを提供するほか録画機能付きのインターホン、目隠しになる1階部分の植栽など安全・安心に工夫を重ねた。
同社によると単身者の入居者比率で女性が占めるのは3割ほど。特に1階部分は2割以下にとどまるが「可処分所得は男女にそれほど差がなく、ニーズはある」(同社)。単身世帯の多くの女性が懸念するセキュリティーの課題をクリアすることで潜在需要の掘り起こしに成功している。
4月には「バージョン・アップ5」を投入。部屋の片づけや洗濯、水回りの掃除などを代行するハウスキーパーサービスなど、多忙な女性のライフスタイルをサポートする機能やサービスを追加した。
【デザイン重視】
三井ホームの注文賃貸住宅商品「デザインメゾン」も女性目線を意識した開発コンセプトを特徴にしている。もともと同社の注文賃貸住宅は外観デザインなどが評価され、女性の入居者率が高い。デザインメゾンでは一戸建て住宅さながらの三つの外観デザインを用意。設備面でも手入れのしやすさを重視した設備や壁面を有効活用した収納、バスルームや洗面化粧台など設備を含めたトータルコーディネートで差別化を図っている。
【自分仕様の空間】
ミサワホームの賃貸住宅商品「ベルリードカムトゥルー」は同社独自の大きな収納空間「蔵」を1階各戸に設けて差別化を図った。1階部分の入居率向上も狙う。さらに1階と2階の全戸にリビングや寝室に比べて約1メートル床面を高くした2畳ほどの小部屋を設けるなど、入居者が自分のライフスタイルに合わせて活用できる空間をつくっている。
【相続税増税】
住宅メーカー各社が商品開発に力を入れている背景には相続税の実質増税がある。2015年から相続税の基礎控除が大幅に引き下げられ、これまで相続税とは無関係と考えていた人びとが相続税対策に動きだした。賃貸住宅や二世帯住宅は税制上の特例を受けられる。賃貸住宅市場の活況は大手住宅メーカー各社の収益を押し上げており、消費増税の影響を受けた一戸建て住宅の低迷を補う形となっている。14年の新設住宅着工戸数によると「貸家」は前年比1・7%増の約36万戸で、3年連続で増えた。
15年度も賃貸住宅市場は活況が続く見通し。相続税対策は一過性のテーマではなく、高齢化の進展に伴って一層ニーズが高まる。一方ではバブル期以前に建てられた築35年を超える賃貸住宅は約280万戸という試算もあり、このうちの相当数が民間のアパートと推定される。今後は建て替え需要も大きくなりそうだ。持ち家志向が薄まる中、さらに魅力的な賃貸住宅が登場することを期待したい。
日刊工業新聞2015年05月08日 建設・エネルギー・生活面