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沖縄に初の半導体工場。「ミニマルファブ」でアジアに供給へ

ネイタスが17年から生産。地元の高専と連携し人材育成も
沖縄に初の半導体工場。「ミニマルファブ」でアジアに供給へ

ネイタスの小型の半導体製造ライン

 ネイタス(東京都港区、吉田政孝社長)は2017年に、沖縄県に多品種少量生産専用の半導体工場を新設する方針を固めた。日本だけでなく、台湾や韓国などアジアの電子機器や半導体の企業への供給を目指す。生産開始に先駆け、人材育成を目的に沖縄工業高等専門学校と提携した。同県を軸に少量多品種に特化した半導体事業を展開する。

 ネイタスは産業技術総合研究所の技術を活用する半導体ベンチャー。1月に設立した。現在は生産効率化の面から、直径6インチのウエハーから半導体を製造するのが主流だが、同社は同0・5インチのウエハーで製造するため設備が小型化できる。

 研究や試作向けに1個から受注する。17年中に月産5000枚の生産ラインを構築して受託生産を始め、20年に売上高100億円を目指す。

 沖縄高専とはダイヤモンド表面弾性波(SAW)デバイスや光スイッチなど微小電気機械システム(MEMS)の研究開発を進める。電子デバイス産業に向けた人材育成プログラムの開発などでも協業する計画だ。沖縄高専の藤井知教授は「企業との連携で研究・教育の場を充実し、沖縄県や日本の産業振興に寄与できれば」と期待する。

日刊工業新聞2016年7月22日
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
電子デバイス産業がない沖縄に半導体工場というのはインパクトが大きい。ネイタスにとってはクリーンで大型設備が不要な半導体工場をアピールでき、沖縄県にとっては雇用創出が期待できる。ミニマルファブの実用化にはコストや用途など課題もまだ多いが、新しい半導体産業の形が日本から生まれることを期待したい。

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