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賞味期限が月単位になると、食品ロスが減る?増える?

協議会が廃棄削減へ表示や納品ルール見直し指針
 流通システム開発センターと流通経済研究所が主催する製・配・販連携協議会は、加工食品の賞味期限の月表示への変更や、製造から賞味期限までの期間の最初の3分の1までに納品する“3分の1ルール”を見直す指針を決めた。国全体で年間632万トン(2015年度)とされる膨大な食品ロスの削減が狙いだ。

 食品メーカーが一番心配するのは、店頭での消費者の反応。同じ種類の加工食品が店頭に並んだ際、月表示を採用したA社の賞味期限が「8月」、採用していないB社が「8月9日」となれば、混乱を招きかねない。「業界で1社が単独でやるのは難しく、小売り側も了解の上で全社がそろって行うことが不可欠」という声が多い。

 また、ある加工食品大手は賞味期限が月単位になると、かえって廃棄ロスが増えるのではと心配する。賞味期限が7月21日の場合、現在はそのまま表示できるのが、「6月」と逆に短縮されるためだ。「7月」と表示できるのは、実際には7月31日から8月30日まで。短縮されて賞味期限が実質的に早まる影響を危惧する。

 こうした中、キユーピーは3月から新たな技術導入でマヨネーズ商品の大半の賞味期限を10カ月から12カ月に延長。キリンビールも長期保存を前提とするミネラルウオーターの大容量サイズなどは小売り側と協議の上、日単位から月表示に切り替えるなど個別メーカーの取り組みも進む。

 3分の1ルールや日単位表示の変更は「実は小売り側にもメリットは大きい」(食品メーカー)との指摘もある。月表示になれば店頭の陳列棚で、賞味期限の近い商品を先頭に出すといった作業が軽減される。「この入れ替えの人手を減らすだけでも相当な人員・時間の削減効果があるはず」(同)という。
日刊工業新聞2016年7月21日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
消費・賞味期限と廃棄ロスの問題は小売業でも頭の痛い問題です。例えばコンビニでは今、チルド弁当が拡大していますが、これも廃棄ロス対策の側面もあります。もちろん、チルド温度帯で配送、販売することでこれまで使えなかった海鮮系の食材が使えたり、鮮度の高い商品を供給する狙いはあるのですが、チルドで販売することで菌数の増加を抑制でき消費期限が伸びるからです。さらにコンビニでは常温、チルド、冷凍と3温度帯の弁当販売を組み合わせて廃棄ロス削減に取り組もうとする動きもあります。弁当の製造から一貫して手掛けるコンビニだから、こういう発想がでてくるのでしょうか。適正な消費・賞味期限とは何か。メーカーや小売業が協調して取り組まないと廃棄ロスの削減はなかなか進まないかもしれませんね。

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