松屋のサラダ、他社の追随を許さぬ“シャキシャキ”感
国産野菜100%を85店に拡大
「牛焼肉定食」や「プレミアム牛めし」で、サラリーマンに広く親しまれている牛丼チェーン、松屋フーズ。同社が深くこだわっているのが食材の品質と安全性だ。中でも野菜サラダの野菜はシャキシャキのキャベツやレタスで、他社の追随を許さない。
【安全性を担保】
キャベツなどの野菜は、基本的に国内農家の契約野菜。生産者の顔が見える契約野菜を使うことで、安全性を担保している。「産地は九州から北海道まで全国に及ぶ」と、畑本直毅購買グループチーフマネージャーは語る。野菜は産地ごとに残留農薬検査を行い、施肥や防除に関するデータも記録する。野菜は収穫した産地で直ちに急速冷蔵し、収穫時の新鮮さを保った状態で冷蔵トラックで加工工場まで運ぶ。
加工工場は富士山の地下水の恵みが生かせる、静岡県富士宮市にある。入荷野菜はキャベツ、レタス、タマネギなど作物ごとに最適温度帯を保つ冷蔵庫に保管することで鮮度維持し、クリーンルームなどで使うエアーシャワーによる洗浄を経て1枚ずつ、葉をはがす。はがし工程で虫や傷み部分の除去を行い、富士山地下250メートルの水で洗浄した後、カッターでスライスし、アップライト照明のもとで異物が紛れ込んでいないか再チェックを行う。鮮度を保つため、工場では店舗のオーダーが入ってから、必要量をカットし、24時間以内に店舗に届けているという。
ドレッシング、たれ類調理や精米を行う嵐山工場(埼玉県嵐山町)では調理ごとに濃度・成分検査や味覚チェックを行い、均一品質に努めている。
【信頼関係築く】
サラダのキャベツは、基本的に寒玉と呼ばれる種類を用いる。カットなどの加工がしやすいためだが、春先に新キャベツが出回る時期には品不足になる。ただ最近は産地の栽培技術が向上し、春先まで寒玉キャベツが供給できるようになったほか「松屋フーズ向けに、わざわざ寒玉キャベツを生産してくれる産地もある」(畑本チームマネージャー)。これまでの契約栽培で、信頼関係が築かれている証だろう。
野菜は日照や雨、気温状態などによって同じ畑でも年により作柄状況が異なる。「細かいやり方は農家のプロに任せる。工場では納品された野菜品質はチェックするが、施肥などでいちいち指示はしない」(同)。
【コメも国産化】
松屋フーズは現在、国産化率のさらなるアップに取り組んでいる。キャベツ、レタスなどは現在もほぼ国産だが「食の安全で、国産品を求める消費者ニーズが予想以上に強い」(小松崎克弘専務)現実があるからだ。主要野菜のうち、寒玉キャベツの問題は契約産地拡大でクリア、残る野菜で輸入比率が高かったコーンも契約産地と別に加工野菜会社の商品を使うことで解決。国産野菜100%店舗は3月末に計5店だったのが4月には同85店に増え、調達体制を整えてさらに拡大を目指す考えだ。
コメについても国産100%を目指している。円高時にコスト対策として、豪州産米を一部、使用していた。だが現在は円安進行に加え、コメ余りで国内米価が下落したため、コスト的にほぼ差はなくなっている。2015年は豪州産米の追加輸入はしない考えで、店頭で在庫分がなくなれば自動的に国産米100%へ置き換わることになる。国産米の品種は、あきたこまちが中心だ。
牛丼チェーンは吉野家ホールディングス、ゼンショーホールディングス、同社の3社が価格争いを繰り広げている。吉野家に続きゼンショーも牛丼価格を引き上げ、差が縮小した中で、新たなキーワードは“品質”。国産はそれをPRする、強力な武器になる。
(編集委員・嶋田歩)
【安全性を担保】
キャベツなどの野菜は、基本的に国内農家の契約野菜。生産者の顔が見える契約野菜を使うことで、安全性を担保している。「産地は九州から北海道まで全国に及ぶ」と、畑本直毅購買グループチーフマネージャーは語る。野菜は産地ごとに残留農薬検査を行い、施肥や防除に関するデータも記録する。野菜は収穫した産地で直ちに急速冷蔵し、収穫時の新鮮さを保った状態で冷蔵トラックで加工工場まで運ぶ。
加工工場は富士山の地下水の恵みが生かせる、静岡県富士宮市にある。入荷野菜はキャベツ、レタス、タマネギなど作物ごとに最適温度帯を保つ冷蔵庫に保管することで鮮度維持し、クリーンルームなどで使うエアーシャワーによる洗浄を経て1枚ずつ、葉をはがす。はがし工程で虫や傷み部分の除去を行い、富士山地下250メートルの水で洗浄した後、カッターでスライスし、アップライト照明のもとで異物が紛れ込んでいないか再チェックを行う。鮮度を保つため、工場では店舗のオーダーが入ってから、必要量をカットし、24時間以内に店舗に届けているという。
ドレッシング、たれ類調理や精米を行う嵐山工場(埼玉県嵐山町)では調理ごとに濃度・成分検査や味覚チェックを行い、均一品質に努めている。
【信頼関係築く】
サラダのキャベツは、基本的に寒玉と呼ばれる種類を用いる。カットなどの加工がしやすいためだが、春先に新キャベツが出回る時期には品不足になる。ただ最近は産地の栽培技術が向上し、春先まで寒玉キャベツが供給できるようになったほか「松屋フーズ向けに、わざわざ寒玉キャベツを生産してくれる産地もある」(畑本チームマネージャー)。これまでの契約栽培で、信頼関係が築かれている証だろう。
野菜は日照や雨、気温状態などによって同じ畑でも年により作柄状況が異なる。「細かいやり方は農家のプロに任せる。工場では納品された野菜品質はチェックするが、施肥などでいちいち指示はしない」(同)。
【コメも国産化】
松屋フーズは現在、国産化率のさらなるアップに取り組んでいる。キャベツ、レタスなどは現在もほぼ国産だが「食の安全で、国産品を求める消費者ニーズが予想以上に強い」(小松崎克弘専務)現実があるからだ。主要野菜のうち、寒玉キャベツの問題は契約産地拡大でクリア、残る野菜で輸入比率が高かったコーンも契約産地と別に加工野菜会社の商品を使うことで解決。国産野菜100%店舗は3月末に計5店だったのが4月には同85店に増え、調達体制を整えてさらに拡大を目指す考えだ。
コメについても国産100%を目指している。円高時にコスト対策として、豪州産米を一部、使用していた。だが現在は円安進行に加え、コメ余りで国内米価が下落したため、コスト的にほぼ差はなくなっている。2015年は豪州産米の追加輸入はしない考えで、店頭で在庫分がなくなれば自動的に国産米100%へ置き換わることになる。国産米の品種は、あきたこまちが中心だ。
牛丼チェーンは吉野家ホールディングス、ゼンショーホールディングス、同社の3社が価格争いを繰り広げている。吉野家に続きゼンショーも牛丼価格を引き上げ、差が縮小した中で、新たなキーワードは“品質”。国産はそれをPRする、強力な武器になる。
(編集委員・嶋田歩)
日刊工業新聞2015年05月04日 モノづくり面