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三菱自、今日から「軽」の生産再開。9月には昼夜2直勤務も

販売も再開、準備追いつかずまずはその場しのぎで
三菱自、今日から「軽」の生産再開。9月には昼夜2直勤務も

4日から生産再開する水島製作所(岡山県倉敷市)

 三菱自動車は4日、水島製作所(岡山県倉敷市)で燃費不正問題を受けて停止していた軽自動車の生産を再開する。20日に本格生産を始め、9月には昼間のみ操業する1直勤務から昼夜交代の2直への切り替えも視野に入れる。部品を供給するメーカー各社は三菱自の生産再開に安堵(あんど)するが、車の販売が不正発覚前の水準に戻るかは不透明。さらに、三菱自と日産自動車との資本提携によって調達環境が一変することに危機感も募らせている。

 三菱自が1日に岡山市で開いた部品メーカー向け説明会で4日からの軽の生産計画を提示した。生産は順次拡大し、7、8月に各約5000台、9月には約9000台に引き上げる計画だ。

 中長期では18、19年にそれぞれ投入予定の次期軽とスポーツ多目的車「RVR」を水島製作所で生産する方針も示している。同製作所の稼働停止に伴う部品メーカーへの補償については、納入していない部品や保管費用、従業員の休業手当てなどを対象とし、7月にも支払いに応じる用意があると説明した。
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「踏み込んだ値引きは避けられない」(販売店)


 三菱自動車の燃費不正問題で停止していた軽自動車の販売が、7月に入って再開した。4月に不正が発覚してから2カ月ぶりの販売だが、販売現場は準備が追いつかず、ひとまずはその場しのぎで滑り出した。価格は停止前から据え置いたが、販売現場では値下げ圧力がかかりそうだ。

(再び走り出した日産の「デイズ」だが、道のりは平坦ではない)

 「今日から七夕フェア。展示車はなんとか間に合いそうだがチラシには入れられなかった」。軽「デイズ」シリーズの販売を再開して初の週末を迎え、首都圏の日産自動車の販売店のスタッフはこう話す。七夕フェアのチラシには小型車「ノート」「マーチ」の写真が入っているがデイズはない。「不正対象車を持っているお客さまの補償対応をしている最中でかなりタイトなスケジュール」(日産の販売店)で十分な準備をできなかった。

 店舗に置く展示車両や試乗車の手配も急ぐ。新たな燃費値に直したカタログもまだできていない。首都圏の三菱自の販売店では「タブレット端末で『eK』シリーズの修正値の案内をしている」。

 三菱自も日産も販売再開にあたって価格は据え置いた。だが販売現場での実売価格には値下げ圧力がかかる。すでに対象車を持っているユーザーには補償金として10万円が支払われる上に、不正のイメージがついてしまった。別の三菱自の販売店スタッフは「補償金をもらうお客さまと公平性を持たせるためにも以前販売していた時よりも踏み込んだ値引きは避けられない」と話す。

 一方で「もともと軽は利幅が少なく、大幅な値引きはできないことに変わりはない。10万円はあくまで前に買ったお客さまだけだと理解をしてもらわないといけない」(日産の販売店)との声もある。

 不正対象車は両社にとって主力車種だ。主力を欠いた両社の5―6月の国内販売は大幅に落ち込んだ。販売の回復と顧客基盤を維持するためになくてはならない車種だけに、別の日産販売店スタッフはこうこぼす。「再開後の販売は厳しいだろう。だがないよりはましだ」。

6月の軽販売 日産・三菱自とも7割超減


 日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽協)が発表した6月の新車販売台数は前年同月比4・9%減の42万907台と2カ月連続で減少した。軽自動車は三菱自動車の燃費不正の影響で、三菱自と日産自動車がそれぞれ7割減と大きく落ち込んだ。登録車はトヨタ自動車の新車効果の影響により微増だった。

 軽自動車は同18・4%減の13万3137台と18カ月連続で減少した。三菱自が同75・7%減の1297台、三菱自から軽の供給を受ける日産が同77・4%減の3728台と前月よりマイナス幅が一段と広がった。 

 5月に燃費試験データの不正が発覚したスズキは同9・3%減の4万3290台だった。2015年4月の軽増税の影響も続いており「燃費不正の影響を除いても、軽市場は低調に推移している状況だ」(全軽協)。

 登録車は同3・0%増の28万7770台と3カ月連続で増加。トヨタの新型ハイブリッド(HV)車「プリウス」やミニバン「シエンタ」の売れ行きが引き続き好調で、全体の販売台数をけん引した。ただ自販連は「受注を見ると前年越えは1社のみで、他は9割どまり。新車効果の影響も以前より短くなっている」と指摘する。

 16年上期(1―6月期)の新車販売台数は、前年同期比4・8%減の254万7345台と2年連続で減少した。登録車は同0・7%増の164万1875台と横ばいだが2年ぶりに増加。軽は同13・4%減の90万5470台と2年連続で減少した。
日刊工業新聞2016年7月4日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
販売の落ち込みとブランドイメージの大幅な毀損によって、三菱自が示した生産計画に対する部品メーカーの見方は厳しい。さらに近く日産が開発を主導する新型軽の調達が本格する予定で、日産側のサプライヤーとの競争は避けられない。

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