車載電子ミラー市場は立ち上がるか。日欧解禁で各社が相次ぎ製品化
東海理化はサイドミラーの知見生かす
カメラで撮影した車外の映像をミラーの代替として利用する電子ミラー。安全運転や燃費改善に貢献するため、注目される次世代技術の一つだ。実用化に向け車載機器各社が技術開発を競うなか、東海理化は電子ミラーを開発し、自動車メーカーへの提案を始めた。自動車のサイドミラー大手の同社は、電子ミラーが欧州や日本で解禁されたのを受け、本格展開に乗り出す。そのほか、音声やモーションでドアを開閉する機能を付けたスマートキーも開発した。先進技術を盛り込んだ製品群の拡充で、新規需要の取り込みや創出を狙う。
東海理化の電子ミラーは、従来の光学式サイドミラーを代替する。小型化により、前方視覚の確保や風きり音の低減などにつながる。先端に搭載したカメラモジュールは富士通ゼネラルと共同開発し、車内に設置するモニターにハイビジョン(HD)画像の拡大率を任意に調整して表示できる。
車外にある電子ミラーには折りたたむ可倒機構も付けた。車内モニターは、自動車メーカーや車種ごとに設置場所を決める。カメラで撮影した映像は画像認識技術の活用も想定する。サイドミラーで培った設計ノウハウや知見、品質確保などの強みを生かした製品として訴求する。
(スマートキーを介し音声でドアを開閉)
一方、スマートキーでは市販のスマートウオッチやスマートフォンと連動させてパワースライドドアを開閉する機能を試作した。米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」に対応した専用アプリケーション(応用ソフト)を開発。スマートウオッチに音声で指示したり、リング型コントローラーでジェスチャーしたりすればドアが開閉する。
スマートキーでは機械学習技術を応用し、かかとのタップや膝の屈伸、ポケットを2回たたくなどのモーションを検知してパワースライドドアやトランクを開閉する機能の提案も始めた。制御ソフトの変更のみで機能を追加できる利点を生かし、採用を目指す。
またJVCケンウッドは1画面に後ろと左右の映像をまとめた端末を開発した。先進技術を採用しながら、運転の邪魔をしないシンプルな形状を提案する。
JVCケンウッドは英マクラーレン・オートモーティブの高級スポーツカー「675LT」に、ヘッドアップディスプレー(HUD)や電子ミラーの最新技術を搭載して展示会用のショーカーを製作した。
乗り込むと、非常にシンプルな内装に驚かされる。ダッシュボード周辺には何もなく、情報表示はHUDと大きめのバックミラーに集約されている。このバックミラーに見えるのが、後ろと左右のカメラ映像を合成した電子ミラーだ。
電子ミラーは従来のミラーで死角となっていた場所も視認できる。安全運転支援技術として、特に欧米自動車メーカーが導入に意欲的だ。またサイドミラーをなくせば、空気抵抗を減らして燃費も向上できる。外観デザインの自由度も増す。
現在公開されている各社の電子ミラーの試作機は、後ろと左右のカメラ映像を別々のディスプレーに映すものが多い。JVCケンウッドも同様の技術を持つが、高速走行する時にディスプレーが多いと運転に集中できないため、今回は最もシンプルな構造を追求した。
「実使用上の違和感のない“一つの絵”にこだわった」(同社担当者)という。首を動かさずに、この端末だけで左右を確認できる。
同社は放送用映像などで培った合成技術を活用し、自動車の要求事項に対応した開発プロセスにして車向けの信頼性を高めている。カメラは伝送スピードと画質のバランスを考えた画素数1メガピクセルのカメラを採用した。
電子ミラーは今夏国際規格化され、2017―18年には実用化される見通しだ。競合はデンソーやパナソニック、仏ヴァレオといった自動車部品大手がひしめく。
厳しい競争が予想される中、今回の画像合成技術はJVCケンウッドの特徴となりそうだ。「欧州では、シームレスでワイドな映像のニーズが高い」(同)とみて、まず先行導入が予想される欧州勢からの受注を目指す。
(バックミラーの位置にあるディスプレーには後ろと左右の映像を合成している=奥は車外のスクリーン)
東海理化の電子ミラーは、従来の光学式サイドミラーを代替する。小型化により、前方視覚の確保や風きり音の低減などにつながる。先端に搭載したカメラモジュールは富士通ゼネラルと共同開発し、車内に設置するモニターにハイビジョン(HD)画像の拡大率を任意に調整して表示できる。
車外にある電子ミラーには折りたたむ可倒機構も付けた。車内モニターは、自動車メーカーや車種ごとに設置場所を決める。カメラで撮影した映像は画像認識技術の活用も想定する。サイドミラーで培った設計ノウハウや知見、品質確保などの強みを生かした製品として訴求する。
(スマートキーを介し音声でドアを開閉)
一方、スマートキーでは市販のスマートウオッチやスマートフォンと連動させてパワースライドドアを開閉する機能を試作した。米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」に対応した専用アプリケーション(応用ソフト)を開発。スマートウオッチに音声で指示したり、リング型コントローラーでジェスチャーしたりすればドアが開閉する。
スマートキーでは機械学習技術を応用し、かかとのタップや膝の屈伸、ポケットを2回たたくなどのモーションを検知してパワースライドドアやトランクを開閉する機能の提案も始めた。制御ソフトの変更のみで機能を追加できる利点を生かし、採用を目指す。
JVCケンウッド、後・左右映像を一つの絵に
またJVCケンウッドは1画面に後ろと左右の映像をまとめた端末を開発した。先進技術を採用しながら、運転の邪魔をしないシンプルな形状を提案する。
JVCケンウッドは英マクラーレン・オートモーティブの高級スポーツカー「675LT」に、ヘッドアップディスプレー(HUD)や電子ミラーの最新技術を搭載して展示会用のショーカーを製作した。
乗り込むと、非常にシンプルな内装に驚かされる。ダッシュボード周辺には何もなく、情報表示はHUDと大きめのバックミラーに集約されている。このバックミラーに見えるのが、後ろと左右のカメラ映像を合成した電子ミラーだ。
電子ミラーは従来のミラーで死角となっていた場所も視認できる。安全運転支援技術として、特に欧米自動車メーカーが導入に意欲的だ。またサイドミラーをなくせば、空気抵抗を減らして燃費も向上できる。外観デザインの自由度も増す。
現在公開されている各社の電子ミラーの試作機は、後ろと左右のカメラ映像を別々のディスプレーに映すものが多い。JVCケンウッドも同様の技術を持つが、高速走行する時にディスプレーが多いと運転に集中できないため、今回は最もシンプルな構造を追求した。
「実使用上の違和感のない“一つの絵”にこだわった」(同社担当者)という。首を動かさずに、この端末だけで左右を確認できる。
同社は放送用映像などで培った合成技術を活用し、自動車の要求事項に対応した開発プロセスにして車向けの信頼性を高めている。カメラは伝送スピードと画質のバランスを考えた画素数1メガピクセルのカメラを採用した。
電子ミラーは今夏国際規格化され、2017―18年には実用化される見通しだ。競合はデンソーやパナソニック、仏ヴァレオといった自動車部品大手がひしめく。
厳しい競争が予想される中、今回の画像合成技術はJVCケンウッドの特徴となりそうだ。「欧州では、シームレスでワイドな映像のニーズが高い」(同)とみて、まず先行導入が予想される欧州勢からの受注を目指す。
(バックミラーの位置にあるディスプレーには後ろと左右の映像を合成している=奥は車外のスクリーン)
日刊工業新聞日刊工業新聞2016年6月10日/30日