「病院」と「診療所」の違いが分かっていないテレビドラマにイラッ!
科学としての医学に基づいた診療の設備や環境が整っているか
読者の皆さん、こんにちは。これから1年は、東京都病院協会会員の院長先生や理事長先生に登場していただき「病院長のつぶやき」と題して、病院を取り巻くさまざまなお話をしていただこうと思っています。
今回は第1回目として、私が病院についてお話しします。よくテレビドラマなどで「主人公が病気となって、『病院に行ってくる』と言って、かかりつけの〇〇クリニックに出かけていくシーン」を見ないでしょうか。
私はこのようなシーンに遭遇すると、ほんの少しですが、イラッとします。どのような病院が出てくるのか興味津々で見ていると、出てくるのが「診療所」ということが多くあります。そのとき「このテレビ局は診療所と病院の差もわからないのか」と思うわけです。
なぜかというと、病院と診療所は医療法ではっきり区別されているからなのです。医療法で病院は20床以上の入院施設を有していることとされており、19床以下は診療所となります。
例えば、産科では産前産後に入院しますので多くは入院ベッドを持っています。19床以下なら診療所で〇〇産院、△△産科医院などとなり、20床以上なら◇◇病院となります。
もう一つ病院には備えていなければならない重要な条件があります。それは「病院は、傷病者が、科学的でかつ適正な診療を受けることができる便宜を与える」と医療法に記されている要件です。
何やら分かりにくいですが、病院は科学としての医学に基づいた診療を行うための、設備や環境が整っていることが必要ということです。それには、病室の他、診察室や調剤室、レントゲン室、手術室、調理室など多くの設備の基準や、医師をはじめ、薬剤師、看護師、診療放射線技師などの満たすべき人員基準が決められています。
それらを満たすことではじめて、都道府県知事に病院として認められます。そして、原則として毎年基準を満たしていることの確認が都道府県庁による立ち入り検査でなされています。ただ、有床診療所も最近は多くの基準が設けられてきたことを付け加えておきます。
科学も医学も日夜進歩し、病院は時代の変化に対応し、良質な医療を提供するよう努力し、制度上も努力しなくてはなりません。病院は診療所とは異なるにもかかわらず、テレビドラマでは区別されていないことにイラッとするわけです。
(文=猪口正孝 医療法人社団直和会、社会医療法人社団正志会理事長)
今回は第1回目として、私が病院についてお話しします。よくテレビドラマなどで「主人公が病気となって、『病院に行ってくる』と言って、かかりつけの〇〇クリニックに出かけていくシーン」を見ないでしょうか。
私はこのようなシーンに遭遇すると、ほんの少しですが、イラッとします。どのような病院が出てくるのか興味津々で見ていると、出てくるのが「診療所」ということが多くあります。そのとき「このテレビ局は診療所と病院の差もわからないのか」と思うわけです。
なぜかというと、病院と診療所は医療法ではっきり区別されているからなのです。医療法で病院は20床以上の入院施設を有していることとされており、19床以下は診療所となります。
例えば、産科では産前産後に入院しますので多くは入院ベッドを持っています。19床以下なら診療所で〇〇産院、△△産科医院などとなり、20床以上なら◇◇病院となります。
もう一つ病院には備えていなければならない重要な条件があります。それは「病院は、傷病者が、科学的でかつ適正な診療を受けることができる便宜を与える」と医療法に記されている要件です。
何やら分かりにくいですが、病院は科学としての医学に基づいた診療を行うための、設備や環境が整っていることが必要ということです。それには、病室の他、診察室や調剤室、レントゲン室、手術室、調理室など多くの設備の基準や、医師をはじめ、薬剤師、看護師、診療放射線技師などの満たすべき人員基準が決められています。
それらを満たすことではじめて、都道府県知事に病院として認められます。そして、原則として毎年基準を満たしていることの確認が都道府県庁による立ち入り検査でなされています。ただ、有床診療所も最近は多くの基準が設けられてきたことを付け加えておきます。
科学も医学も日夜進歩し、病院は時代の変化に対応し、良質な医療を提供するよう努力し、制度上も努力しなくてはなりません。病院は診療所とは異なるにもかかわらず、テレビドラマでは区別されていないことにイラッとするわけです。
(文=猪口正孝 医療法人社団直和会、社会医療法人社団正志会理事長)
日刊工業新聞2016年7月1日