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海外赴任経験者が転職する意外な動機とは 

大手メーカーから中小企業への移籍も
海外赴任経験者が転職する意外な動機とは 

日系企業が多く進出するバンコク

 製造業で国境や企業規模を超えた人材の流動化が加速している。日本の大企業から中堅・中小に転職したり、外資の日本進出に伴いエンジニアの統括責任者が日本企業から入社したりしている。人材紹介サービスのジェイエイシーリクルートメントはこうした動きに対応し、1月に東京の製造業向け人材紹介部門を日系製造・外資系製造の二つに分けてサービスを拡充した。海外拠点の幹部クラスの求人が増えている。

 従業員50人以下の自動車部品メーカーのタイ駐在として働くA氏。前職は国内大手家電メーカーの東南アジア駐在として品質関連業務に従事していた。大手車載関連機器メーカー出身のB氏は現在、従業員数200人強の自動車部品メーカーでメキシコ拠点の責任者として働く。大手の東南アジア拠点で現法社長として営業統括を務めた経験を生かし転職した。

 彼らはなぜ大手から規模の小さな企業での海外赴任を選ぶのか。ジェイエイシーリクルートメントの松園健社長は、「海外赴任後日本に帰国すると、社内での待遇や環境に疑問を抱くこともある。中小企業で権限を持たされた方がやりがいを感じるという人もいる」と説明する。

 一方、大手日系電機メーカー出身者が、欧州系自動車部品メーカーの日本進出に際し、エンジニア統括として転職したという例もある。外資でより挑戦的な仕事をしてみたいという移籍希望の声もあるという。「日系製造業のグローバル化の流れがさらに加速する一方で、ここ数年海外からの日本進出も増えてきた」(松園社長)と、人材獲得を巡りボーダーレスな企業間の競争が繰り広げられている

日刊工業新聞2016年6月24日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
大企業に勤めている、というプライドだけで社員が残る時代はもはや終わったようです。海外赴任の経験者の処遇を改善するといった方策をとらなければ、外資にも人材の流出が続くでしょう。

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