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シャープ、あす株主総会。鴻海から得るもの、切られるもの

調達拡大にサプライチェーンでシナジー。人材流出は止まるか
シャープ、あす株主総会。鴻海から得るもの、切られるもの

左から次期社長になる鴻海の戴副総裁、郭会長、退任するシャープの高橋社長

 シャープは23日に大阪市内で株主総会を開く。株主総会で各議案が可決され、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業が出資を実行すれば、シャープは経営再建の道を歩き出せる。両社はまず有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)などのディスプレー事業やIoT(モノのインターネット)家電などで協業を進める方針だが、協業範囲はより広いものとなりそうだ。

 6月中旬から、シャープ研究開発本部の約20人が鴻海の中国拠点を訪問中で、開発中の技術を鴻海が生産する米アップル向け製品に提案できないか検討を始めた。事業化前の技術も積極的に検討する姿勢にはシナジー創出に向けた鴻海の意気込みがうかがえる。

 一方、鴻海は「シャープはまだ国内外に重複する生産拠点が多い」(鴻海幹部)と見ている。鴻海の強みは徹底した生産効率化によるコスト競争力。目先より将来を見据え、費用を伴う国内拠点閉鎖や中国の組立工場の再編などのリストラを進める可能性はある。実際に郭台銘鴻海会長は5月、シャープ社員のさらなる人員削減の必要性に言及。シャープがグローバルで最大7000人規模の人員削減策を検討していることも分かった。

 シャープは過去2年で計6000人以上の希望退職を実施、自主退職も多く、優秀な幹部や中堅社員が多数、社外流出した。これ以上の人員削減はシャープ社員の再建意欲に水を差しかねず、新経営陣は慎重なかじ取りが必要だ。

 シャープの取引銀行では「これまで通り支える」(取引行幹部)と支援方針を示すところがある一方、「再建計画の中身次第」(別の取引行幹部)と態度を決めきれない取引行もある。鴻海はシャープの再建計画をより具体的に内外へ示すことが求められている。
(文=大阪・錦織承平、同・川合良典)

アナリストから見た再建


サークルクロスコーポレーション主席アナリスト・若林秀樹氏
「企業文化の違い課題」

 シャープの16年度業績は、薄型ディスプレー(FPD)、ソーラーを除くと500億―1000億円の営業黒字を見込む。もし有機ELに2000億円投資するならFPDでも全体でも赤字。17年度にFPDは1000億円の赤字、ソーラーは100億円の赤字で、全社では収支トントンとみる。

 シャープが期待できるシナジーは、調達拡大、鴻海のサプライチェーン、資金などの活用。デバイスやモジュールはパネルと組んで付加価値が高まる。課題は事業の大きさやサイクル、企業文化などの違い。特に鴻海が有機ELやデバイスの大きな損益変動や先行投資負担を我慢できるかだ。

 米アップルのiPhone(アイフォーン)はガラス、フレキシブル筐体(きょうたい)が増え、20年には鴻海が製造するアルミニウム筐体はなくなる。鴻海もアップル依存を下げる必要があり、そのための多角化も買収の狙い。白物など家電は多角化で大きな柱になる。事務機はOKIや東芝テック、京セラと組めば面白い。

SMBC日興証券株式調査部シニアアナリスト・桂竜輔氏
「『第2の創業』に期待」

 シャープは15年度に過去の負の遺産を抜本整理したことなどで、16年度にも250億円程度の営業黒字に転換できる可能性がある。ディスプレー事業では中国・韓国の二大勢力が液晶・有機ELに巨額投資する見込み。鴻海・シャープ連合が存在価値を失わないためには、さらなる合従連衡を進め競争力を高める必要がある。

 有機ELへの投資を加速する場合、蒸着工程の投資は堺工場で行い、回路基板の工程はイノラックス(群創光電)の低温ポリシリコン(LTPS)工場の活用もある。郭鴻海会長はシャープの酸化物半導体(IGZO)を推すが、競合するLTPSの進化や現行有機ELメーカーの価格戦略リスクもある。

 郭会長は家電のIoT化で差別化し競争力を回復させ、シャープの開発・技術力と、鴻海のスピード・コスト力で成長を目指している。大胆かつタイムリーな経営判断で「第2の創業」が果たされることを期待したい。
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日刊工業新聞2016年6月22日付記事から抜粋
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
残念ながらメディアがシャープ復活の象徴になるか!?と言われた「ロボホン」はまったく売れてません。まずはディスプレーの再建につきる。

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