足こぎ車いす「コギー」発進!アプリやVRとも連携するリハビリの新たな形
歩行困難者に自分で動ける幸せを
TESS(仙台市宮城野区、鈴木堅之社長、022・353・9707)は21日、足でこぐ車いす「COGY(コギー)」を発売したと発表した。足を動かすメカニズムを利用し、半身麻痺や腰痛など、歩行が困難な人でも自分の足でペダルをこいで自由に動くことができる。価格は32万9000円と37万円(ともに非課税)。個人や医療機関向けに年間4000台の販売を見込む。
コギーは片足を動かすと脊髄にある「歩行中枢」を刺激して、反射的にもう一方の足が動くという人の運動機能を利用した。どちらかの足が少しでも動かすことができれば、両足でペダルをこぐことが可能。ペダルをこぎながらハンドルを回して、自由に向きを変えることも可能だ。耐荷重が100キログラムまでのMサイズと136キログラムまでのLサイズを用意し、レンタルでも提供する。
(東北大学名誉教授 半田康延博士)
同製品は東北大学名誉教授の半田康延博士が研究開発した介護福祉機器。2008年から「プロファンド」として発売し、今回商品名を刷新して拡販につなげる。商品のリニューアルに合わせて、仮想現実感(VR)を活用したリハビリ支援システムやスマートフォンと連動して歩行を支援するアプリケーションの提供も始めた。
(VRでは画面に表示された地図上を車いすをこぐことで動き回る)
TESSは東北大学発の研究開発型ベンチャーで、08年に設立。これまでプロファンドを約5000台販売した。鈴木社長は「『あきらめない人の車いす』がコギーのコンセプト。多くの人に自分の足を動かす喜びを伝えたい」としている。
発表会では全国障害者スポーツ大会水泳競技出場の村田奈々選手、車いすバスケットボールおよび車いすフェンシングの安直樹選手にコギーが贈呈された。
(文=村上 毅)
TESSの代表取締役鈴木堅之氏が「足こぎ車いす」に出会ったのは、13年前、テレビの前だった。「たまたま見ていたニュース番組で、東北大学の半田康延教授が開発した『足こぎ車いす』が紹介されていました。足が不自由な人でもスイスイと足で車いすをこいでいる様子に『なんだこれは!』と衝撃を受けました」。
鈴木氏のルーツは意外にも宮沢賢治。大学時代に宮沢賢治にとにかく憧れ、宮沢賢治に関する仕事に就きたいと思っていたところ、岩手県に宮沢賢治の理念に基づいた理想郷を目指して設立される福祉施設があると知り、飛び込んだ。
福祉施設で仕事をしていく中で、障がい者が生活していくためにはリハビリが不可欠だと知った鈴木氏は、リハビリを学ぶために専門学校に通うも、資金が尽きて退学。教員免許を持っていたため公立学校の先生となる。障がい者をサポートする仕事に就きたいと悶々としていた中でちょうど出会ったのが、「足こぎ車いす」だったのだ。
足こぎ車いすが普及し、小さい頃から使用すれば、子供たちが走れるようになるかもしれない。障がい者が自立する手段の1つになるかもしれないと思い、前身企業の門をたたいた。
<続きはこちら>
(【連載】挑戦する地方ベンチャー No.1 宮城県仙台市 TESS (前編))
コギーは片足を動かすと脊髄にある「歩行中枢」を刺激して、反射的にもう一方の足が動くという人の運動機能を利用した。どちらかの足が少しでも動かすことができれば、両足でペダルをこぐことが可能。ペダルをこぎながらハンドルを回して、自由に向きを変えることも可能だ。耐荷重が100キログラムまでのMサイズと136キログラムまでのLサイズを用意し、レンタルでも提供する。
(東北大学名誉教授 半田康延博士)
同製品は東北大学名誉教授の半田康延博士が研究開発した介護福祉機器。2008年から「プロファンド」として発売し、今回商品名を刷新して拡販につなげる。商品のリニューアルに合わせて、仮想現実感(VR)を活用したリハビリ支援システムやスマートフォンと連動して歩行を支援するアプリケーションの提供も始めた。
(VRでは画面に表示された地図上を車いすをこぐことで動き回る)
TESSは東北大学発の研究開発型ベンチャーで、08年に設立。これまでプロファンドを約5000台販売した。鈴木社長は「『あきらめない人の車いす』がコギーのコンセプト。多くの人に自分の足を動かす喜びを伝えたい」としている。
発表会では全国障害者スポーツ大会水泳競技出場の村田奈々選手、車いすバスケットボールおよび車いすフェンシングの安直樹選手にコギーが贈呈された。
(文=村上 毅)
テレビで見た足こぎ車いすに衝撃、ベンチャーに飛び込む
TESSの代表取締役鈴木堅之氏が「足こぎ車いす」に出会ったのは、13年前、テレビの前だった。「たまたま見ていたニュース番組で、東北大学の半田康延教授が開発した『足こぎ車いす』が紹介されていました。足が不自由な人でもスイスイと足で車いすをこいでいる様子に『なんだこれは!』と衝撃を受けました」。
鈴木氏のルーツは意外にも宮沢賢治。大学時代に宮沢賢治にとにかく憧れ、宮沢賢治に関する仕事に就きたいと思っていたところ、岩手県に宮沢賢治の理念に基づいた理想郷を目指して設立される福祉施設があると知り、飛び込んだ。
福祉施設で仕事をしていく中で、障がい者が生活していくためにはリハビリが不可欠だと知った鈴木氏は、リハビリを学ぶために専門学校に通うも、資金が尽きて退学。教員免許を持っていたため公立学校の先生となる。障がい者をサポートする仕事に就きたいと悶々としていた中でちょうど出会ったのが、「足こぎ車いす」だったのだ。
足こぎ車いすが普及し、小さい頃から使用すれば、子供たちが走れるようになるかもしれない。障がい者が自立する手段の1つになるかもしれないと思い、前身企業の門をたたいた。
<続きはこちら>
(【連載】挑戦する地方ベンチャー No.1 宮城県仙台市 TESS (前編))
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