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IVIが日本版インダストリー4.0のプラットフォーム構築へ

社団法人化し、海外との連携も
IVIが日本版インダストリー4.0のプラットフォーム構築へ

西岡理事長

 日本版第4次産業革命を目指すインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI、西岡靖之理事長=法政大学教授)は、IoT(モノのインターネット)を活用して工場を高度化する基盤(プラットフォーム)を10月までに20種類程度構築する。設備保全にビッグデータを使ったり、町工場同士をつなげたり、設計と製造の連携の強化などのプラットフォームを検討する。参加企業を募り、海外との連携も進めていく。

 IVIは17日の総会で社団法人化された。これにより国家事業の委託を受けたり、特許収入を受けたりでき、「活動の幅を広げられる」(西岡理事長)。プラットフォームの構築推進もその一環。IVIではあらたに「プラットフォーム委員会」を設置し、詳細を詰めていく。

 地方展開を強化するため、セミナーも各地で開く。8月に静岡市、9月に神戸市、10月に富山市で開催し、参加する中小企業経営者がIoTを使って自社の事業改善を考案してもらう。川崎重工業、中村留精密工業(石川県白山市)などが協力する。

 また総会後に法人化記念シンポジウムも開催。「IoTメガトレンド2045」を公表し、2045年ごろにはIoTで「製造業のサービス化」が進み、大手企業から中小下請けに仕事が流れる従来の産業構造が一変すると予想。顧客ごとにカスタム化した製品やサービスを中小企業が提供し、大企業はIoTのプラットフォームを提供する黒子役になる可能性を指摘した。

 IVIは15年6月に設立。トヨタ自動車パナソニックをはじめ、150社超の企業が参加し、日本の製造業に適したIoTの活用を目指して活動している。
日刊工業新聞2016年6月20日
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
 順調な活動を続けるIVIが社団法人化し、プラットフォーム収入などを含む複合的なモデルが実現できるようになった。製造業の範囲に限るとはいえ、ここまでの関係者の地道な努力には頭がさがる。これを国内だけでなく、海外まで展開することを目指して是非とも推進を加速して欲しいものだ。  一方で工場から物がスマートに出荷されるようになるとその後工程である物流や販売、フィールドサービスがボトルネックになり始める。そろそろ本来の"バリューチェーン"全体を捉えてスマート化する事を考え始めないと、俯瞰して捉えた時には局所最適化されているに過ぎないとも言える。IVIのミッションではないだろうが、各業界をまたぐ視点で"繋がる"ことを検討すべき時期に来ている。

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