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富士重、産業機器向けの汎用エンジンから撤退

来年めど、自動車・航空機に資源集中
富士重、産業機器向けの汎用エンジンから撤退

富士重工業の汎用エンジン「EXシリーズ」

 富士重工業は2017年をめどに汎用エンジンを製造する産業機器事業から撤退する。従業員は自動車事業の開発部門などに配置転換する。産機事業は自動車、航空機とともに富士重3事業の一角を占めていたが、近年は競争激化で低収益が続いていた。今後は売上高の9割を占める車事業に重点的に経営資源を投じ、開発力を高める。非中核事業から撤退する構造改革が完了し、富士重の経営は車と航空機に集中する新ステージに入る。

 産機事業では建設機械などに搭載する汎用エンジンや発電機を生産し、14年度は約91万台を販売した。ただ近年は新興国メーカーなどとの価格競争が激化し、15年度の売上高は326億円、営業利益は1億円にとどまっていた。産機事業の従業員は国内外で約680人。汎用エンジンを生産する埼玉製作所(埼玉県北本市)の従業員は車の開発拠点である東京事業所(東京都三鷹市)と生産拠点である群馬製作所(群馬県太田市)に配置転換する。

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日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
産業機器事業からの撤退の背景には、主力の自動車事業で電動化や自動運転などを巡って激化する技術開発競争に遅れを取ってはならないという危機感がある。水平対向エンジンに代表される従来の「スバル車」の魅力に加え、安全運転支援システム「アイサイト」のような新しい車の価値を創造していくために最も重要なのは開発の人材だ。産機には汎用エンジン開発に携わる優秀な人材が多くいる。今回の経営判断は、スバルが世界ブランドとして成長するための大きな転換点になる。 (日刊工業新聞第一産業部・下氏香菜子)

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