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昭和シェルが合併後も潤滑油事業の体制を維持するワケ

分社化しシェルグループとの密接な関係を続ける
 昭和シェル石油は15日、潤滑油事業を分社化すると発表した。10月にも行う出光興産との合併に先立ち、昭和シェルの100%出資で新会社を設立し、潤滑油の製造・販売事業を承継させる。筆頭株主である英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルグループのブランドで国内展開してきた同事業への信頼感を、出光との合併後も維持するための体制を整える。

 新会社は会社分割方式で設立し、シェルグループが開発した潤滑油の国内製造・販売事業を承継させる。資本金は1億円。設立時期や代表者は未定。出光との合併後は合併新会社の傘下に置く。昭和シェルが出光との合併でシェルグループを離れた後も、同グループとの協力関係を維持する姿勢を明確にして、品質やサービスへの信頼を保つ狙い。

 昭和シェルの潤滑油事業では、シェルグループの化学合成技術を応用した自動車用のエンジンオイルや航空機のエンジン周りのオイル、工業用潤滑油などを幅広く取り扱う。神戸と横浜の両事業所に製造拠点を構える。
日刊工業新聞2016年6月16日
米山昌宏
米山昌宏 Yoneyama Masahiro
昭和シェルは、潤滑油事業において、ロイヤルダッチシェルグループと密接にかかわっている。シェルグループは、潤滑油を世界的に統一ブランド(Shell Helix)で展開しており、潤滑油の化学合成のベースオイル Shell XHVIは、シェルグループのGTL(Gas to Liquid)プラントから製造される製品から作られている。また、潤滑油添加剤はエクソン・モービルとシェルが世界でも有数の添加剤メーカーであるインフィニアムを設立している。これらの協力体制を維持するためには、新会社設立は必要な決断だと思われる。

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