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「柔らかな肌触り」が特長の紙おむつ向け繊維、中国で増産

JNC、ES不織布の存在感が高まる
 JNCは13日、中国で紙おむつなどに使われるポリオレフィン系複合繊維(ES繊維)の生産能力を引き上げると発表した。約23億円を投じ、江蘇省の既存工場に年産1万4500トンの設備を新設する。2018年7月の稼働を目指す。

 ポリプロピレン繊維大手のファイバービジョン(デンマーク)とJNCが出資する「芸愛絲維順(蘇州)繊維」を増強する。アジアの旺盛な需要を取り込み、事業を拡大する。ES繊維はJNCが開発した熱接着性の複合繊維。不織布などに加工され、紙おむつや生理用品などに使われる。今夏にはタイのラヨーン県にも生産設備を立ち上げる予定。
日刊工業新聞2016年6月14日 素材・ヘルスケア・環境面
峯岸研一
峯岸研一 Minegishi Kenichi フリーランス
JNCグループの強みは原料であるオレフィン系熱融着繊維(芯ポリプロピレン、鞘ポリエチレン)とES不織布を一貫生産すること。これを可能にしているのは、JNC(チッソ)と世界最大のポリプロピレン繊維メーカーであるファイバービジョンズ社の合弁会社「ESファイバービジョンズ」が生産・販売しているため。しかも、増設は急ピッチ。現在、日本で17年5月稼働を目指して年産3600トンの新プラントを建設中だが、今回発表した中国江蘇省蘇州市のプラントが稼働すれば、日本、タイ、中国を合わせた生産能力は年産約3万8000トンになる。JNCグループのES不織布は、オレフィン系熱融着繊維の低温溶融性を活かして繊維間を接着することから、「柔らかな肌触り」が特長。そのため多くのおむつや生理用品に肌に接するトップシートへの採用が続いている。エステル系熱融着繊維を含めたES不織布の存在感が高まっている。

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