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双日が丸全昭和運輸と組みメキシコ物流に参入

自動車産業に照準
双日が丸全昭和運輸と組みメキシコ物流に参入

メキシコから米国に出荷されるマツダ車=マツダ提供

 双日は丸全昭和運輸と組んで、メキシコの物流事業に参入する。両社が共同で現地法人を設立し、6月から主に自動車産業向けに物流サービスを展開する。メキシコでは自動車各社の増産に伴い、物流需要の伸びが見込まれている。日本通運や郵船ロジスティクスのほか、伊藤忠ロジスティクス(東京都港区)といった商社系物流会社を含めた事業参入が活発化している。

 双日の物流子会社の双日ロジスティクス(SLC、東京都千代田区)が66・7%、丸全昭和運輸が33・3%を出資し、双日丸全ロジスティクス・メキシコ(SMLM、サンルイスポトシ州)を設立した。自動車産業が集積するグアナファト州イラプアトに営業所も設けた。2―3年後をめどに売上高10億円を目指す。

 主に現地に進出する日系自動車部品メーカー向けに、工場設備の輸入通関から据え付け、原材料の供給・製品輸送までの一貫物流事業を展開する。双日の資材の調達支援や物流管理などの機能と、丸全昭和運輸の持つ大型設備機械の輸送ノウハウを組み合わせ、現地の需要を取り込む。

 SLCの米国拠点と連携したメキシコ―米国間物流などの海外輸送も手がける。将来は納入先の生産計画に合わせた部品の定時配送も検討する。SLCはメキシコ駐在員事務所があり、従来は現地の物流事業者に委託して、部品物流を一部展開していた。

トヨタ系サプライヤー、相次ぎ新工場


日刊工業新聞2016年5月24日


 FTS(愛知県豊田市)は、メキシコに自動車の樹脂製燃料タンクをつくる新工場を建設する。トヨタ自動車が2019年に稼働するグアナファト州の工場敷地内に建設し、同年夏の操業開始を目指す。投資額は約15億円で、生産のリードタイムを従来比10分の1にする新ラインを導入。トヨタのメキシコ工場建設に伴い、系列の部品メーカーの進出も本格化する。

 トヨタがメキシコで小型車「カローラ」の新工場(年産能力20万台)を建設するのに合わせ、FTSも工場進出する。16年夏に現地法人「FTSオートモーティブメキシコ」を設立。資本金は約6億円で、稼働時に約40人の従業員を計画する。生産スペースは約6300平方メートルを見込んでおり、建屋面積などは今後詰める。海外工場はタイ、インドネシア、米国に続き4カ所目。

 新工場では樹脂材に空気を吹き込む「ブロー成形機」を小型化。バルブなどの構成部品の位置も最適化する。これらの取り組みによってリードタイムを従来比10分の1、生産スペースを3分の1に縮小。投資額は従来の工場の約半分に抑えるという。トヨタが設計改革「TNGA」の展開に合わせて生産ラインの刷新を進めており、FTSも対応する。

 FTSはトヨタ自動車系の燃料タンクメーカー。トヨタの新工場発表後はアイシン精機や愛三工業、豊田鉄工(愛知県豊田市)なども現地工場の建設を決めている。
日刊工業新聞2016年6月1日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
メキシコでは2019年にトヨタがグアナファト州に新工場を稼働する計画。日産自動車やホンダ、マツダも生産が活発になっており、自動車関連サプライヤーの進出が相次いでいる。

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