ニュースイッチ

日本の“電力IoT”は世界モデルになるか。経産省が「仮想発電所」を後押し

分散リソースの一括管理制御、他の分野にも応用可能
 経済産業省・資源エネルギー庁は地域の枠を超え、IoT(モノのインターネット)により分散電源を統合制御するバーチャルパワープラント(仮想発電所)の構築支援に乗り出す。アグリゲーター(事業者)を公募し、今夏にも始動。2016年度から5年間で合計5万キロワットを国内に整備する方針だ。利用者が節電した電力を電力会社などに売るネガワット取引の実証も加速する。国内で技術を確立し、日系企業のエネルギー管理技術の輸出にも弾みをつける。

 仮想発電所は送配電系統の需給に合わせて太陽光発電や蓄電池、電気自動車(EV)、デマンドレスポンス(DR)などを統合的に制御。あたかも一つの発電所として機能させることで発電量を抑え、需給バランスを最適化する。

 20年の発送電分離を見据えた次世代技術として注目されている。三井物産は米社に出資する形で技術獲得に動いている。

 電力システム改革が進む中、分散型エネルギー制御技術を最大限活用し、新たなエネルギーアグリゲーションビジネスを創出する。経産省はバーチャルパワープラント構築事業として16年度予算で29億5000万円を計上しており、17年度予算案にも反映させる。
<全文は日刊工業新聞電子版に会員登録して頂くとお読みになれます>

日刊工業新聞2016年6月7日
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
5年くらい前から電力クラウドと称して幾つかの企業に提案を持ち回っていたのを思い出す。クラウドの時代には個々で所有していた発電所が統合されて効率的に、という説明をしていたクラウドベンダーもあったように中央集約がトレンド。IoTの時代には電力は特に規制緩和もありリソースの分散がトレンド。今回の仮想発電所はこれら二つを組み合わせた(当たり前ではあるが)分散リソースの一括管理制御が最大のポイント。様々な事業に応用できるモデルだ。まずは電力の世界で先鞭をつけて事例を確立してほしいものだ。

編集部のおすすめ