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ロボットが電子看板を操作。三菱電機がアプリ開発で用途広げる

「ペッパー」と「オハナス」に対応。広告宣伝での効果を期待
ロボットが電子看板を操作。三菱電機がアプリ開発で用途広げる

三菱電機のデジタルサイネージとペッパー

 三菱電機はロボットを使ってデジタルサイネージ(電子看板)を動作させる「ロボットサイネージ」用のアプリケーションソフトを開発した。ロボットが持つ音声認識や画像認識の機能から得た情報をもとにロボットがサイネージに指示を送り、映像コンテンツを再生する。見た目や動きで人の関心を集めやすいロボットと連動してサイネージの注目度を高める。今後、店頭の商品紹介や観光地の見所案内といった用途開発を進める。

 開発したロボット用アプリはソフトバンクの「ペッパー」とタカラトミーの「オハナス」の2種類のロボットに対応。ロボットが人による音声指示や内蔵カメラで撮影した人の年齢・性別などの情報をもとに、あらかじめ記録しておいた映像コンテンツから状況に合うものを選択し、サイネージに再生を指示する(オハナスはスマートフォンを経由する)。

 ロボットが動きを交えて商品紹介などの音声コンテンツを読み上げるのに合わせて、サイネージに映像のページ送りなどの指示を出し、ロボットとサイネージが連動して情報を発信する。

 開発段階のため、価格や発売時期は未定。今後、サイネージとの通信環境に汎用性を持たせるなど使いやすさを向上する。ロボットサイネージ専用コンテンツの制作サービスを始めることも視野に入れ、展示会などで顧客の反応を見ながらサイネージとアプリの提供形態などを検討する。
日刊工業新聞2016年6月1日
石橋弘彰
石橋弘彰 Ishibashi Hiroaki 第一産業部
ペッパーやオハナスのようなコミュニケーションロボットは、「何をするか」というアプリケーションの開発が普及のカギを握る。アプリ用途の中で今回の電子看板のような広告宣伝は最もコミュニケーションの利用が進みそうな分野だ。当然、さまざまな企業が同分野に向けたアプリ開発に参入している。コミュニケーションロボットは人の関心を引きやすく、会話の中身も人間の営業マンではできないような、収入、個人情報などあれこれと踏み込んだ話をしても嫌がられない。こうした特徴を生かした広告宣伝ができることは確かに面白い。だが、肝心の広告宣伝の内容を作るのは人間だ。いくらロボットが面白い特徴を持ち、個人の嗜好などのデータを取れたとしてもデータを有効活用できるかできないかは人間にかかってくる。「ロボットさえ使えば優れた広告宣伝が打てる」という誤解だけは避けたい。

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