「ロボット化した“スケート靴”」が生活に溶け込む日は来るか?
家庭用ロボット「Patin(パタン)」の挑戦
フラワー・ロボティクスが開発中の家庭用ロボット「Patin(パタン)」。人工知能を搭載したパタンを共通基盤として、上部に家具や家電などをジョイントし自律走行させる、いわば「ロボット化した“スケート靴”」である。クラウドに蓄積したデータを解析することで使用者の行動様式を学習し成長していく。
パタンの開発状況や今後の戦略について、同社の松井龍哉社長に聞いた。
―発売時期は2016年中と発表されていますが。
発売に先行して、今年の6月下旬にディベロッパー向けのカンファレンスを開催し、SDKの概要を発表する予定です。我々は共通基盤部分のパタンを製作しますが、主体となるのは上に載せるサービスユニットと呼んでいる部分です。このサービスユニットの開発をサードパーティに担ってもらうことがSDK開放の狙いです。ディベロッパーの方々の開発期間が1年間は必要だと想定しています。また、2016年1月にはアメリカの展示会に出展し、ここでは具体的にパタンやサービスユニットを紹介できる予定です。
―ディベロッパーにはどのような企業を想定していますか。
相性がいいと考えているのは家電メーカーですが、照明、家具、植栽などさまざまなジャンルで可能性があると考えています。健康機器にも注目しています。いきなりたくさんの企業と組むのではなく、まずは少ないパートナーとコミュニケーションを取りながらノウハウを蓄積し、徐々にパートナー企業を拡大していくつもりです。ベンチャーから大企業まで企業規模は問いませんが、それなりの開発コストがかかることは認識しておいていただく必要があります。
―パタンに関しても、さまざまな企業とのコラボレーションによって開発されているとのことですが。
例えばメインCPUボードは画像処理能力の高いNVIDIA製。それぞれの部品に最適なパートナー企業を選定しています。またパタンはクラウドにつながりますので、ネットワーク関係やそれにまつわるセキュリティ関連の企業との連携も必要です。どのようにこれらを組み合わせるかが、ある意味オリジナルの技術になってきます。
―内製化できる部分が限られる、ベンチャーなりの戦い方ですね。
7月に中国で開催される「ロボカップ」のグローバルパートナー(スポンサー)就任も、非常に重要な戦略です。ロボカップにはレベルの高いエンジニアが多数出場します。当社を知ってもらい、優秀な人材の確保や国際的なネットワークづくりにつなげたいと考えております。また、今年からロボットのデザイン性を評価するデザインアワードを新設しました。研究フェーズから産業フェーズへ向かう際にデザインが重要となるため、エンジニアのデザインへの意識を高めていきたいと思っています。
―量産化がまたハードルの1つだと思いますが。
かなり複雑な構造とシステムを持っていますので、どこまでシンプルに、量産しやすくするかを検討し、現在は販売用設計に入る前段階です。また、新しく市場を作り出すプロジェクトなので、マーケティングも難しい部分ですね。
絶対的な需要がある製品ではないので、新しいテクノロジーが好きな人だけではなく、ライフスタイルとして面白いものを取り入れたい人への購買意欲に訴えかけることも必要だと考えています。
―パタンのデザインにおいて重視された点は。
もっともシンプルなベースを作るというのがパタンのデザインです。いろいろなものを自由に載せられますし、生活に取り入れられる際にも無理なく受け入れられるよう一歩引いたデザインになっているのが特徴です。
―ライフスタイルに取り入れられるというのがパタンの大きな特徴ですね。
例えばパタンに照明をセットし、家に帰ってきたときには玄関に来て明かりをつけてくれ、眠くなってくると自然と照明を落とす。繰り返していく中でパタンが学習し、自然と生活に調和してくることが、人とロボットとの良い関係だと思います。
―ロボット市場が注目されサービスロボットも増えてきていますが、実際に家庭にロボットが導入されるまでには距離があるように感じます。
ロボットの専門家だけがロボットを作っているうちは、家庭に自然と溶け込むロボットが登場するのは難しいのではないでしょうか。ロボットを作っている人でもアプリケーションを思いつく人は少ない。厳密に家庭環境を調査し、マーケティングを行う必要があります。そして最初から売り切りにするのは、家庭用ロボットでは無理だと考えています。メンテナンスなどのアフターサービスの対応がキーになるためです。
ソフトバンクのPepperはロボット業界にとってはよいことだったと思います。これが起爆剤となり、ロボットが次々と出てくるのではないでしょうか。スマートフォンの例を見ても、米アップル社もプラットフォームとシステムをきちっとデザインし、成功しています。
―日本がサービスロボット分野の競争に勝っていくために必要なことは。
小型化や、安くても壊れないものを作る技術には長けています。それとシステムを密に連携させ設計すること。ロボットを作るには 機械、電気、 制御、ネットワーク、アプリケーション企画、マーケティング、メンテナンスなど様々な専門性を持ったメンバーが集まり、チームとして取り組むことが不可欠です。また人とのかかわりを軸に置くこと。使用者の情報を取得しロボットの動きに反映、生活の中で使用者にとって自然と便利なこと、得なことが継続されていくと、「これは必要なものだ」という認識になります。
パタンの開発状況や今後の戦略について、同社の松井龍哉社長に聞いた。
―発売時期は2016年中と発表されていますが。
発売に先行して、今年の6月下旬にディベロッパー向けのカンファレンスを開催し、SDKの概要を発表する予定です。我々は共通基盤部分のパタンを製作しますが、主体となるのは上に載せるサービスユニットと呼んでいる部分です。このサービスユニットの開発をサードパーティに担ってもらうことがSDK開放の狙いです。ディベロッパーの方々の開発期間が1年間は必要だと想定しています。また、2016年1月にはアメリカの展示会に出展し、ここでは具体的にパタンやサービスユニットを紹介できる予定です。
―ディベロッパーにはどのような企業を想定していますか。
相性がいいと考えているのは家電メーカーですが、照明、家具、植栽などさまざまなジャンルで可能性があると考えています。健康機器にも注目しています。いきなりたくさんの企業と組むのではなく、まずは少ないパートナーとコミュニケーションを取りながらノウハウを蓄積し、徐々にパートナー企業を拡大していくつもりです。ベンチャーから大企業まで企業規模は問いませんが、それなりの開発コストがかかることは認識しておいていただく必要があります。
―パタンに関しても、さまざまな企業とのコラボレーションによって開発されているとのことですが。
例えばメインCPUボードは画像処理能力の高いNVIDIA製。それぞれの部品に最適なパートナー企業を選定しています。またパタンはクラウドにつながりますので、ネットワーク関係やそれにまつわるセキュリティ関連の企業との連携も必要です。どのようにこれらを組み合わせるかが、ある意味オリジナルの技術になってきます。
―内製化できる部分が限られる、ベンチャーなりの戦い方ですね。
7月に中国で開催される「ロボカップ」のグローバルパートナー(スポンサー)就任も、非常に重要な戦略です。ロボカップにはレベルの高いエンジニアが多数出場します。当社を知ってもらい、優秀な人材の確保や国際的なネットワークづくりにつなげたいと考えております。また、今年からロボットのデザイン性を評価するデザインアワードを新設しました。研究フェーズから産業フェーズへ向かう際にデザインが重要となるため、エンジニアのデザインへの意識を高めていきたいと思っています。
―量産化がまたハードルの1つだと思いますが。
かなり複雑な構造とシステムを持っていますので、どこまでシンプルに、量産しやすくするかを検討し、現在は販売用設計に入る前段階です。また、新しく市場を作り出すプロジェクトなので、マーケティングも難しい部分ですね。
絶対的な需要がある製品ではないので、新しいテクノロジーが好きな人だけではなく、ライフスタイルとして面白いものを取り入れたい人への購買意欲に訴えかけることも必要だと考えています。
―パタンのデザインにおいて重視された点は。
もっともシンプルなベースを作るというのがパタンのデザインです。いろいろなものを自由に載せられますし、生活に取り入れられる際にも無理なく受け入れられるよう一歩引いたデザインになっているのが特徴です。
―ライフスタイルに取り入れられるというのがパタンの大きな特徴ですね。
例えばパタンに照明をセットし、家に帰ってきたときには玄関に来て明かりをつけてくれ、眠くなってくると自然と照明を落とす。繰り返していく中でパタンが学習し、自然と生活に調和してくることが、人とロボットとの良い関係だと思います。
―ロボット市場が注目されサービスロボットも増えてきていますが、実際に家庭にロボットが導入されるまでには距離があるように感じます。
ロボットの専門家だけがロボットを作っているうちは、家庭に自然と溶け込むロボットが登場するのは難しいのではないでしょうか。ロボットを作っている人でもアプリケーションを思いつく人は少ない。厳密に家庭環境を調査し、マーケティングを行う必要があります。そして最初から売り切りにするのは、家庭用ロボットでは無理だと考えています。メンテナンスなどのアフターサービスの対応がキーになるためです。
ソフトバンクのPepperはロボット業界にとってはよいことだったと思います。これが起爆剤となり、ロボットが次々と出てくるのではないでしょうか。スマートフォンの例を見ても、米アップル社もプラットフォームとシステムをきちっとデザインし、成功しています。
―日本がサービスロボット分野の競争に勝っていくために必要なことは。
小型化や、安くても壊れないものを作る技術には長けています。それとシステムを密に連携させ設計すること。ロボットを作るには 機械、電気、 制御、ネットワーク、アプリケーション企画、マーケティング、メンテナンスなど様々な専門性を持ったメンバーが集まり、チームとして取り組むことが不可欠です。また人とのかかわりを軸に置くこと。使用者の情報を取得しロボットの動きに反映、生活の中で使用者にとって自然と便利なこと、得なことが継続されていくと、「これは必要なものだ」という認識になります。
ニュースイッチオリジナル