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クルマへの関心度、日本は先進国中最低…米IBM、人と車の関係を調査

「10年内に車所有したい」86%
 2025年の自動車業界はどうなっているのか。米IBMは「人とクルマの新たな関わり」をテーマに、消費者の視点で10年後の“クルマ”社会を俯瞰(ふかん)した調査報告をまとめた。調査対象は日本を含め、世界16カ国1万6000人以上。クルマの所有意識の変化やクルマ体験を豊かにするモビリティー(移動性)機能への期待、車の購入の仕方などで設問を設定し、それぞれに起こる変化を展望している。

新興国と先進国で差異


 10年以内にクルマを所有したいか―。年代や性別、地域による差異はあるものの、10年先を展望した時に、86%が「所有する」と回答した。新興国の多くは「所有していないが、運転している人」が多く、新興国での所有欲の強さが全体を押し上げている。

 ただ「10人に4人」がリースなどの加入型所有に関心を示して、「4人に1人」がスマートフォンアプリで利用客と個人運転手を結ぶ「ウーバー」などのパートナーシップ所有に興味を持っていることも分かった。

 日本IBMの安藤充GBS事業パートナーは「個人所有を求める人が8割以上いたとしても、きっかけがあれば消費者の所有の意識が変わる土壌があることは見逃せない」と指摘する。

女性でも意欲高く


 年代別では個人所有への意欲が高いのは18―24歳。逆に25歳以上は、今後10年で個人所有の意識が低下する傾向がみられる。地域別では新興国で個人所有意欲の比率が高く、また男性よりも女性が移動手段として車を欲していることも分かった。

 クルマに期待するモビリティー機能とはデジタルな機能やサービスによって自己学習し、パーソナライズ(個別化)する機能などを指す。例えば消費者の関心が高かった機能は壊れる前に治す自己修復(59%)。以下は自律的ソーシャル(55%)、自己学習(54%)、自動運転(54%)の順。地域別では新興国は自己修復、先進国は自動運転への期待が大きかった。

 モビリティー機能は体験が重要であり、「ベンダーはいち早く多様なサービスを提供して、だめなら入れ替えることが必要だ」(安藤氏)としている。

<調査結果に対する見解は「日刊工業新聞電子版」でお読みいただけます!>
日刊工業新聞2016年5月24日 電機・電子部品・情報・通信1面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
新興国での所有欲が高いのは頷けますが、先進国中でも日本が極めて低い位置にいることが気になりました。

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