ボーイング、地銀に航空機投資を呼びかけ
「アジアに数多くの航空機が引き渡され、市場の中心に日本が位置している」
今後5年間で市場規模が約1.4倍成長すると見込まれる航空機ファイナンス市場について、ボーイングの100%子会社ボーイング・キャピタル・コーポレーション(BCC)は、日本国内では地方銀行に投資を呼びかけていく。
BCCによると、2015年に航空会社と航空機リース会社が受領した新造機は、金額換算で総額約1220億ドル(約13兆3170億円)相当。このうち、保険会社や年金基金といった機関投資家による資本市場からの資金調達が34%、民間銀行からの借入が28%、航空会社やリース会社が持つ現金が23%、輸出入銀行など輸出信用機関からの調達が13%だった。
今年は市場規模が1270億ドル、2020年には1720億ドルと、2015年に比べて約1.4倍にあたる500億ドルの成長を見込んでいる。
BCCのティム・マイヤーズ社長は、「2016年の資金調達先は、資本市場が36%、銀行借入が27%、現金が24%、輸出信用が11%。ボーイングだけを抽出すると、38%が資本市場となり、今年だけで400億ドルに達する。日本のメガバンクを含む銀行借入は28%で、輸出信用は9%だ」と説明した。
資本市場から調達する資金については、「45%がリース会社、30%が米系航空会社、25%が非米系航空会社の利用で、非米系は非常に伸びると期待している」と見通しを述べた。
航空機の証券化商品のひとつで、航空会社による機材購入資金の調達手法として発行される「EETC(Enhanced Equipment Trust Certificate)」については、「米国市場では、2015年は67億ドル相当。米国市場では非常に増えている」(マイヤーズ社長)と語った。
一方、民間銀行からの資金供給については、国別で見ると2016年は中国が29%で日本は第2位の15%となる見通し。しかしながら、今後の民間銀行からの借入については、バーゼル銀行監督委員会が銀行の自己資本比率などについて、「バーゼル4」と呼ばれる新たな規制を導入する懸念があることから、「規制強化により、厳しくなるだろう」との見通しを示した。
輸出信用については、ボーイングが米国最大の輸出企業であることから、マイヤーズ社長は「米国の輸出入銀行は取締役会がうまく機能しておらず、投資に制約がある。(輸出信用にあたる資金源として)われわれが投資することになるかもしれない」と語った。
また、航空会社やリース会社の購入形態について、マイヤーズ社長は「(機体購入直後にリース会社へ引き渡す)セールアンドリースバックが46%、直接購入が54%」と説明した。
(成長が期待される航空機ファイナンス市場)
航空機ファイナンス市場のうち、日本の動向についてアジア太平洋地域を担当するフォスター・S・アラタ副社長は、「航空ファイナンスで日本の銀行は2番目に大きい資金源。非常に重要な役割を果たしている」と説明した。
アラタ副社長は、「アジアに数多くの航空機が引き渡されていく中、市場の中心に日本が位置している。日本の業界には航空機ファイナンスに精通した人材がおり、チャンスを生かせるだろう」と語った。
日本市場での航空機ファイナンスについて、BCCは2015年6月に日本政策投資銀行(DBJ)と業務協力協定を締結。DBJは国内の金融市場と世界の航空機ファイナンス市場の橋渡し役を担う。
DBJは経営に参画するソラシドエア(旧スカイネットアジア航空)が2013年にボーイング737-800型機1機を実質自社保有化する際、地元九州の地方銀行とシンジケートローン(協調融資)を組成するなど、邦銀と連携した航空機ファイナンスにも取り組んでいる。
こうした中、アラタ副社長は日本の地方銀行の参入を促す。「大手3メガバンクとともに資金調達に参加している地銀もあり、大手がポートフォリオを地銀に売却することもある。地銀がリスクを限定しながら学ぶ良い機会だ」(アラタ副社長)と述べた。
今後の地銀による航空機ファイナンス参入について、アラタ副社長は「不動産と比べて重要な資産だが、時間がかかるだろう」と述べ、定期的な会合の場を設けていく考えを示した。
邦銀は2位
BCCによると、2015年に航空会社と航空機リース会社が受領した新造機は、金額換算で総額約1220億ドル(約13兆3170億円)相当。このうち、保険会社や年金基金といった機関投資家による資本市場からの資金調達が34%、民間銀行からの借入が28%、航空会社やリース会社が持つ現金が23%、輸出入銀行など輸出信用機関からの調達が13%だった。
今年は市場規模が1270億ドル、2020年には1720億ドルと、2015年に比べて約1.4倍にあたる500億ドルの成長を見込んでいる。
BCCのティム・マイヤーズ社長は、「2016年の資金調達先は、資本市場が36%、銀行借入が27%、現金が24%、輸出信用が11%。ボーイングだけを抽出すると、38%が資本市場となり、今年だけで400億ドルに達する。日本のメガバンクを含む銀行借入は28%で、輸出信用は9%だ」と説明した。
資本市場から調達する資金については、「45%がリース会社、30%が米系航空会社、25%が非米系航空会社の利用で、非米系は非常に伸びると期待している」と見通しを述べた。
航空機の証券化商品のひとつで、航空会社による機材購入資金の調達手法として発行される「EETC(Enhanced Equipment Trust Certificate)」については、「米国市場では、2015年は67億ドル相当。米国市場では非常に増えている」(マイヤーズ社長)と語った。
一方、民間銀行からの資金供給については、国別で見ると2016年は中国が29%で日本は第2位の15%となる見通し。しかしながら、今後の民間銀行からの借入については、バーゼル銀行監督委員会が銀行の自己資本比率などについて、「バーゼル4」と呼ばれる新たな規制を導入する懸念があることから、「規制強化により、厳しくなるだろう」との見通しを示した。
輸出信用については、ボーイングが米国最大の輸出企業であることから、マイヤーズ社長は「米国の輸出入銀行は取締役会がうまく機能しておらず、投資に制約がある。(輸出信用にあたる資金源として)われわれが投資することになるかもしれない」と語った。
また、航空会社やリース会社の購入形態について、マイヤーズ社長は「(機体購入直後にリース会社へ引き渡す)セールアンドリースバックが46%、直接購入が54%」と説明した。
(成長が期待される航空機ファイナンス市場)
地銀の参入増「時間かかる」
航空機ファイナンス市場のうち、日本の動向についてアジア太平洋地域を担当するフォスター・S・アラタ副社長は、「航空ファイナンスで日本の銀行は2番目に大きい資金源。非常に重要な役割を果たしている」と説明した。
アラタ副社長は、「アジアに数多くの航空機が引き渡されていく中、市場の中心に日本が位置している。日本の業界には航空機ファイナンスに精通した人材がおり、チャンスを生かせるだろう」と語った。
日本市場での航空機ファイナンスについて、BCCは2015年6月に日本政策投資銀行(DBJ)と業務協力協定を締結。DBJは国内の金融市場と世界の航空機ファイナンス市場の橋渡し役を担う。
DBJは経営に参画するソラシドエア(旧スカイネットアジア航空)が2013年にボーイング737-800型機1機を実質自社保有化する際、地元九州の地方銀行とシンジケートローン(協調融資)を組成するなど、邦銀と連携した航空機ファイナンスにも取り組んでいる。
こうした中、アラタ副社長は日本の地方銀行の参入を促す。「大手3メガバンクとともに資金調達に参加している地銀もあり、大手がポートフォリオを地銀に売却することもある。地銀がリスクを限定しながら学ぶ良い機会だ」(アラタ副社長)と述べた。
今後の地銀による航空機ファイナンス参入について、アラタ副社長は「不動産と比べて重要な資産だが、時間がかかるだろう」と述べ、定期的な会合の場を設けていく考えを示した。