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「破たん」劇的ビフォーアフター!JALは変わったか(20)機内食をおいしく

社長に直談判したモスバーガーとのコラボ。「空の上のレストラン」を目指す
 日本航空(JAL)は3月から、モスバーガーとコラボレーションした機内食「AIRモスバーガー・JALスペシャル」を欧米路線のエコノミークラスで提供している。モスバーガーとのコラボレーションは2011年6月から始まり、今回で5回目。利用者からも好評で、これまでに吉野家、ケンタッキーフライドチキンなど、さまざまな外食チェーンと機内食を開発している。

 商品・サービス企画本部開発部客室サービスグループ長の田中誠二は「モスバーガーに最初にお願いしたときは、機内食は難しいという反応だった。そこで社長に直談判して、クオリティーを維持すると約束して了解を得た」と、舞台裏を明かす。メニューの共同開発では、技術やノウハウを余すところなく教えてもらい、機内の環境に合わせて水分を増やしたり、味を濃くするなど工夫して完成させる。中にはうまく行かずに断念したものや、数年かかったものもある。

 13年1月からは国際線の新仕様座席「スカイスイート」の導入に合わせて、海外で活躍する日本人シェフとファーストクラスとビジネスクラスの機内食を開発。田中は「シェフとのコラボレーションは以前もやっていたが、レシピをもらい、想像して再現しただけで、クオリティーは変わらなかった」と話す。

 こうした反省に立ち、13年からはシェフから細かな調理法を指導してもらい、調味料まで同じものを使っている。メニュー決定までにシェフとJALの担当者が一緒に作って食べてを何度も繰り返す。メニューは季節に合わせて年4回変わるので、一年中この作業が続く。

 こうした取り組みの中で生まれたのが、牛肉などの「半調理」という調理法。地上で肉を半分だけ焼いて65度の油に漬け、機内で温めて出す。「レストランで当たり前にやっていることを取り入れ、飛行機でも柔らかくてできたての肉が出せるようになった」と田中は話す。

 機内食のコンセプトは「空の上のレストラン」。田中は「今までやってこなかったことをやって、クオリティーを上げないといけない」と話す。「全てのクラスでワンランク上のサービス」を目指し、JALは試行錯誤を続ける。(敬称略)
日刊工業新聞2015年04月07日 建設・エネルギー・生活面
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
飛行機の中では気圧の関係で味覚が狂い、味付けが地上よりも薄味に感じるそうです。また、機内のキッチンは調理器具などが限られるので、そういった条件の中で、一流レストランや人気の外食チェーンの味をいかに再現するか、JALを始め、各航空会社が工夫を凝らしています。近年は空港ビル会社の努力もあって、空港のレストランも充実していますので、そういうことも意識して、機内食を開発しているそうです。

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