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寄付金使い道もっと明確に…クラウドファンディング「地域おこし協力隊」支援へ

「ふるさと納税」の枠組みで寄付できる
 総務省とポータルサイト運営事業者が連携し、地方創生―。総務省は過疎地域などを活性化する事業の資金について、インターネットを通じて集める「クラウドファンディング」によって「ふるさと納税」の枠組みで寄付できる仕組みを立ち上げた。将来の定住を目的に移住して、地場産品の広報・宣伝などを行う「地域おこし協力隊」の任期満了後の起業資金として募る。ヤフーや楽天などは、この寄付の輪を拡大する支援体制を整えていく。

協力隊、定住進まず


 地域おこし協力隊の隊員数は、2015年度に2625人に上った。前年度比で7割増えるなど、年々増加傾向にある。一方でおおむね3年以内の任期満了後、同じ地域に住み続ける隊員は約6割にとどまる。「隊員の定住による過疎地域の人口増加」という目的の実現には、就業先の乏しさといった課題があった。

 そこで総務省は、隊員の定住手段として起業しやすい体制を構築。クラウドファンディングにより起業資金を募るサイト(地域おこし協力隊・クラウドファンディングポータルサイト)を立ち上げた。サイトには隊員の事業を掲出する。国民は、自治体への寄付により住民税などが控除される「ふるさと納税」の枠組みで、応援したい事業を選んで寄付できる。

寄付の使い道明示


 掲出する事業は、「地域が抱える課題の解決に貢献するか」などの公益性に照らして各自治体が決める。事業の進捗(しんちょく)状況についても寄付者に定期的に報告し、透明性を高める。「寄付金の使い道を明確に示すことで寄付者の理解が得やすくなる」(総務省地域力創造グループ地域自立応援課)。

 こうした仕組みを支援するのが、ポータルサイト事業者だ。ヤフーは「これまでの『ふるさと納税』の使い道には一部、不透明な部分があると認識しており、具体的な寄付先の事業が見える今回の取り組みに共感した」と協力する背景を説明。今後、自社サイトでの広報・宣伝などを展開するという。楽天も「支援する事業を16年度中に始めたい」と意気込み、具体的な内容の検討を進めている。

 ポータルサイトには4月11日稼働開始時点で、「空き家を活用した喫茶店の開設」など3件の事業が掲出された。こうした事業の実施は隊員の定住だけでなく、地域の魅力向上につながり得る。ポータルサイト事業者の今後の後押しにより、寄付の輪が広がることで地方創生を加速させる効果が期待される。
(文=葭本隆太)
日刊工業新聞2016年5月9日 電機・電子部品・情報・通信面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
地域おこし協力隊の大きな目的の一つが「定住」ですが、給料をもらってその土地に来ていた隊員が任期終了後すぐに開業、就職するのは難しいもの。この仕組みであれば目に見える形で支援ができます。

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