2期連続で減収減益のファナック、13年ぶり社長交代で何が変わる?
役割分担を明確化、次の成長の種を仕込む
ファナックが13年ぶりの社長交代に踏み切る。新社長は製造関連の重要ポストを歴任してきた山口賢治副社長。自社工場の自動化を推進し、他を圧倒する競争力を生み出してきた手腕に、期待がかかる。ただ、事業環境は厳しい。中国経済減速などの影響を受け、2017年3月期連結業績は2期連続の減収減益となる見通し。産業界全体で先行きへの懸念が広がる中、会長となる稲葉善治社長とともに苦境に挑む。
「稲葉新会長の下、ファナックの健全な形を保ち、永続させることに力を注ぐ」―。28日、山梨県忍野村の本社で開いたアナリスト向けの決算説明会で、6月に社長兼最高執行責任者(COO)に就く山口氏は、あいさつした。物腰が柔らかく、「極めて優秀」(同社関係者)と社内での評価も高い。
以前から次期社長候補とみられていた。工場の自動化を主導し収益力を高めてきた功績も大きく、そのリーダーシップに期待がかかる。
代表権のある会長兼最高経営責任者(CEO)に就く稲葉社長とともに厳しい事業環境に挑むことになりそうだ。また、内田裕之副社長が最高技術責任者(CTO)、権田与志広副社長が最高財務責任者(CFO)を新たに兼務し、脇を固める。経営体制の基盤は変えず、それをさらに強固にすることが狙いとみられる。
足元の経営環境は厳しさを増している。17年3月期は小型工作機械、工作機械用コンピューター数値制御(CNC)装置の不振により2期連続の減収減益を予測する。
近年目立ったスマートフォン関連の特需は当面復活が望めず、中国経済も先行きが読めない状況。首脳陣にとっては、この苦境を脱することが目下の課題となる。
社長交代、最高責任者職の新設により経営体制を強化し、目の前の荒波を乗り越えることができるか―。事業環境がめまぐるしく変わる中、圧倒的な収益力を取り戻せるかどうか、注目されている。山口新社長をはじめ、首脳陣の牽引(けんいん)力が試される。
(文=藤崎竜介)
「稲葉新会長の下、ファナックの健全な形を保ち、永続させることに力を注ぐ」―。28日、山梨県忍野村の本社で開いたアナリスト向けの決算説明会で、6月に社長兼最高執行責任者(COO)に就く山口氏は、あいさつした。物腰が柔らかく、「極めて優秀」(同社関係者)と社内での評価も高い。
以前から次期社長候補とみられていた。工場の自動化を主導し収益力を高めてきた功績も大きく、そのリーダーシップに期待がかかる。
経営体制の基盤変わらず
代表権のある会長兼最高経営責任者(CEO)に就く稲葉社長とともに厳しい事業環境に挑むことになりそうだ。また、内田裕之副社長が最高技術責任者(CTO)、権田与志広副社長が最高財務責任者(CFO)を新たに兼務し、脇を固める。経営体制の基盤は変えず、それをさらに強固にすることが狙いとみられる。
足元の経営環境は厳しさを増している。17年3月期は小型工作機械、工作機械用コンピューター数値制御(CNC)装置の不振により2期連続の減収減益を予測する。
近年目立ったスマートフォン関連の特需は当面復活が望めず、中国経済も先行きが読めない状況。首脳陣にとっては、この苦境を脱することが目下の課題となる。
社長交代、最高責任者職の新設により経営体制を強化し、目の前の荒波を乗り越えることができるか―。事業環境がめまぐるしく変わる中、圧倒的な収益力を取り戻せるかどうか、注目されている。山口新社長をはじめ、首脳陣の牽引(けんいん)力が試される。
(文=藤崎竜介)
日刊工業新聞2016年4月29日