熊本地震から2週間。発生地域が拡大、大分でも震度5強
M3.5以上、内陸・沿岸で200回超える
熊本地震の発生から28日で2週間が経過した。被災企業の多くが復旧に向けて踏み出した。一方で熊本、大分両県で震度1以上の地震は14日以降、1000回を超えるなど地震活動が活発に続いている。人工衛星で熊本周辺の地殻変動を観測し、崖崩れの予測などに役立てる調査も進んでいる。
気象庁によると、14日の地震以降、震度1以上を観測する地震は28日時点で1000回を超えた。また、内陸や沿岸で発生したマグニチュード(M)3・5以上の地震の回数は200回以上を記録している。一連の地震活動の発端は、熊本地方で14日21時26分に発生した最大震度7、M6・5の地震だ。続いて最大震度6弱以上の地震が2度発生した。
さらに、16日1時25分にはM7・3と今回の地震活動として最大規模の地震が発生。当初は最大震度6強とされていたが、熊本県の益城町と西原村の震度計のデータを気象庁が解析した結果、最大震度は7に修正された。その後も震度6弱以上の地震が3度発生。北東から南西の方向に延びる長さ約30キロメートルの領域にある、熊本県阿蘇地方や大分県などの周辺域にも地震発生地域が拡大している。
今回の地震の特徴は、最大震度7の地震が立て続けに発生したことと、内陸部の真下で起きた比較的震源の浅い「内陸型地震」であることだ。文部科学省の地震調査委員会によると、今回の地震は主に北北東―南南西にかけて延びる断層を境に地面が南北方向に引っ張られた「右横ずれ断層型」であるとみられる。
右横ずれ断層とは、断層の一方に立った際、反対側の地面が右にずれる場合をいう。一方、反対側の地面が左にずれる場合は左横ずれ断層と呼ばれる。
地震は大別すると「内陸型地震」「海溝型地震」の二つの種類がある。内陸型地震は95年の阪神・淡路大震災、04年の新潟県中越地震も同じメカニズムで発生している。
一方、海溝型地震は海側のプレートと大陸側のプレートが接しているところで起きるため津波が発生しやすい。大きな津波被害をもたらした11年の東日本大震災が典型だ。
熊本地震に関する調査は宇宙からも行われている。地震発生後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は陸域観測技術衛星「だいち2号」で熊本周辺の撮影を開始。衛星データを解析した国土地理院は、熊本地震で活動した布田川(ふたがわ)断層帯の北側で地殻が最大1・2メートル以上沈降、同断層帯の南側では地殻が最大0・4メートル以上隆起していると発表した。
同様に衛星データを解析したリモート・センシング技術センター(東京都港区)は活断層に沿って阿蘇大橋(熊本県南阿蘇村)と熊本県益城町を結ぶ地域一帯に大きな地殻変動があることを示した。こうした画像データは崖崩れの予測、道路やダムを点検する際の優先度の決定などの基礎データとして期待できる。
だいち2号は地表に向けて電波を送信し、戻ってきた反射波を捉えて地表の形状を画像化する「合成開口レーダー(SAR)」を備えている。そこに地震前後の地表の画像を組み合わせる「干渉SAR」という処理で地殻の変動量を割り出す。
電波を利用して昼夜や天候に影響されずに地表を観測できることが大きな特徴。地震や火山噴火などの災害情報の提供に大きな役割を果たしている。
気象庁によると、14日の地震以降、震度1以上を観測する地震は28日時点で1000回を超えた。また、内陸や沿岸で発生したマグニチュード(M)3・5以上の地震の回数は200回以上を記録している。一連の地震活動の発端は、熊本地方で14日21時26分に発生した最大震度7、M6・5の地震だ。続いて最大震度6弱以上の地震が2度発生した。
さらに、16日1時25分にはM7・3と今回の地震活動として最大規模の地震が発生。当初は最大震度6強とされていたが、熊本県の益城町と西原村の震度計のデータを気象庁が解析した結果、最大震度は7に修正された。その後も震度6弱以上の地震が3度発生。北東から南西の方向に延びる長さ約30キロメートルの領域にある、熊本県阿蘇地方や大分県などの周辺域にも地震発生地域が拡大している。
内陸部の真下、右横ずれ断層型
今回の地震の特徴は、最大震度7の地震が立て続けに発生したことと、内陸部の真下で起きた比較的震源の浅い「内陸型地震」であることだ。文部科学省の地震調査委員会によると、今回の地震は主に北北東―南南西にかけて延びる断層を境に地面が南北方向に引っ張られた「右横ずれ断層型」であるとみられる。
右横ずれ断層とは、断層の一方に立った際、反対側の地面が右にずれる場合をいう。一方、反対側の地面が左にずれる場合は左横ずれ断層と呼ばれる。
地震は大別すると「内陸型地震」「海溝型地震」の二つの種類がある。内陸型地震は95年の阪神・淡路大震災、04年の新潟県中越地震も同じメカニズムで発生している。
一方、海溝型地震は海側のプレートと大陸側のプレートが接しているところで起きるため津波が発生しやすい。大きな津波被害をもたらした11年の東日本大震災が典型だ。
宇宙からも観測。大規模な地殻変動、衛星データで解析
熊本地震に関する調査は宇宙からも行われている。地震発生後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は陸域観測技術衛星「だいち2号」で熊本周辺の撮影を開始。衛星データを解析した国土地理院は、熊本地震で活動した布田川(ふたがわ)断層帯の北側で地殻が最大1・2メートル以上沈降、同断層帯の南側では地殻が最大0・4メートル以上隆起していると発表した。
同様に衛星データを解析したリモート・センシング技術センター(東京都港区)は活断層に沿って阿蘇大橋(熊本県南阿蘇村)と熊本県益城町を結ぶ地域一帯に大きな地殻変動があることを示した。こうした画像データは崖崩れの予測、道路やダムを点検する際の優先度の決定などの基礎データとして期待できる。
だいち2号は地表に向けて電波を送信し、戻ってきた反射波を捉えて地表の形状を画像化する「合成開口レーダー(SAR)」を備えている。そこに地震前後の地表の画像を組み合わせる「干渉SAR」という処理で地殻の変動量を割り出す。
電波を利用して昼夜や天候に影響されずに地表を観測できることが大きな特徴。地震や火山噴火などの災害情報の提供に大きな役割を果たしている。
日刊工業新聞2016年4月29日「深層断面」から抜粋