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富士フイルムHD、古森CEO続投での社長交代でM&A戦略はどうなる?

昇格する助野氏は新事業を創出してきた“影の立役者”とも
富士フイルムHD、古森CEO続投での社長交代でM&A戦略はどうなる?

右から助野次期社長、古森会長・CEO、中嶋社長・COO

 富士フイルムホールディングスは27日、6月1日付で助野健児取締役執行役員(61)が社長兼最高執行責任者(COO)に昇格すると発表した。

 中嶋成博社長兼COO(67)は代表権のある副会長に就き、6月29日の定時株主総会後に退任する予定。古森重隆会長兼最高経営責任者(CEO=76)は続投し、今後も経営の最終決定権を持つ。

 助野取締役は経理・財務畑一筋。英国・米国に駐在した計12年間で国際感覚にも磨きをかけた。米国では最高財務責任者(CFO)を務め、写真フィルム事業の構造改革や成長事業をもう一段伸ばすためのM&A(合併・買収)も手がけた。

 中嶋社長は「15年度までの中計で進めてきた施策が一段落した」と交代理由を説明。助野取締役は「医薬品や高機能材料などの新事業を軌道に乗せる。効率経営とグローバル経営にもこだわる」と明言。業態の転換を進めてきた“古森・中嶋改革”を継承する。

助野氏はどんな人?


 英米の子会社で財務中心のマネジメントに携わった。M&A成立後に最大のシナジーを引き出すポスト・マージャー・インテグレーション(PMI)を推進。古森重隆CEOは「当社にとって極めて重要な業務経験が豊富で、さらなる成長に導くのにふさわしい人材」と評する。

 入社以来、一貫して経理・財務畑を歩んだ。デジタル化で核となる写真フィルムの需要縮小に直面。古森会長による高機能材料など新事業創出を支え、中嶋社長が取り組んだ現場力強化や収益向上といった改革に貢献した”影の立役者“だ。

 『大事は大胆に、小事は細心に』がモットー。成長をけん引する新事業では思い切った行動を心がける一方、効率的経営実現のために細やかな目配りも忘れない。ベートーベンやブラームスなどを楽しむオフタイムが至福の時。
(文=堀田創平)
【略歴】
助野健児(すけの・けんじ)氏 77年(昭52)京大法卒、同年富士写真フイルム(現富士フイルム)入社。02年富士フイルムHDアメリカCFO、12年富士フイルムHD執行役員、13年取締役。兵庫県出身。
日刊工業新聞2016年4月28日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
最近「実力会長」が残留して社長だけ交代するトップ人事のパターンが多い。東芝のヘルスケア子会社の買収に失敗。助野さんは経理・財務畑なので当面は足場固め?古森さんが君臨する限り、彼を中心にすべてが回っていくことに変わりはない。

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