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三菱自動車の燃費不正。経産省がサプライヤーの影響調査へ

「岡崎工場もいずれ止まる可能性が高い」ー。困惑の部品メーカー
三菱自動車の燃費不正。経産省がサプライヤーの影響調査へ

26日の会見で謝罪する相川社長(中央)

 三菱自動車は26日、燃費を実際より良く見せかけていた問題で不正の内容を国土交通省に報告した。不正の代償は大きい。水島製作所(岡山県倉敷市)の軽生産は止まっており、サプライヤーにも影響が及ぶことが懸念されている。27日はサプライヤー向けの説明会を予定していたが「延期したのは全体を説明できる状況ではないから。個別訪問で聞き取りをして対応している」(相川哲郎社長)という。

 「早く(三菱自から)情報をとれと営業部門に指示しているが、まったくとれない」。愛知県内のあるサプライヤーの幹部は、もどかしい思いを吐露する。

 このサプライヤーはトヨタ自動車が主要取引先で、三菱自向けの比率は低いものの、今後、三菱自の動向次第で影響を大きく受ける可能性がある。「岡崎(名古屋製作所)から水島(製作所)への生産移管の話は困るなあと思っていた矢先の出来事。今後、そうした計画がどうなるのか。うちも多くの仕入れ先を抱えているので早く情報がほしい」と語る。

 「岡崎工場もいずれ止まる可能性が高い」―。関西圏を拠点とするサプライヤー首脳は戸惑いを隠せない。軽自動車向け部品を主力とする同社への影響は大きい。古くからの付き合いで培ったパイプを生かし情報収集に奔走するが「三菱自の社内でも情報が錯綜(さくそう)している」と強調。27日に予定されていたサプライヤーへの説明会も延期され「正確な情報がほしい」と嘆く。

 サプライヤーの不安が広がる中、経済産業省は26日、燃費試験データの不正操作問題で停止した水島製作所(岡山県倉敷市)が立地する岡山県に職員数人を派遣し、岡山県庁などと協力してサプライヤーの経営への影響調査を始めた。三菱自の責任が明らかになっている以上、「まずは三菱自にサプライヤーへの資金支援を考えてもらう」(経産省関係者)としており、その上で打撃が大きければ経産省としての対応を検討する構え。
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日刊工業新聞2016年4月27日「深層断面」から一部抜粋
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
4月から「クルマ新時代」というカテゴリーを作ったが、三菱自動車は“旧時代”のままである。

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