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太陽光発電システムのリベルテはなぜ倒産したのか!?

帝国データバンク情報部の追跡レポート。社長の古巣が不祥事、信用不安広がる
 「太陽光関連」と言うと、企業の取引審査の担当者がある種の先入観を持つようになって久しい。業界全体に赤信号が点り、「有力候補」が常に水面下で囁(ささや)かれているからだ。

 2月28日に事業を停止し、3月5日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けたリベルテ(東京都新宿区)もそのひとつだった。2009年12月に大阪府で設立された当社だが、これには伏線、というか前身となった企業がある。

 代表の上津昇司氏はエステート24ホールディングス(大阪市北区、秋田新太郎代表)の共同創業者であり社長を務めていた。しかし経営方針を巡り意見が対立、蜜月はわずか8カ月で終わりを迎える。その後、独立した上津氏が創業したのが当社だ。

 他の太陽光関連企業と同様、リベルテの業績も爆発的な伸びをみせた。起爆剤となったのは、やはり12年7月の「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(FIT)」施行だろう。国策を追い風に、13年10月期売上高は29億円に達した。

 もっとも、太陽光関連市場では13年春頃より大事件が持ち上がっていた。主役となったのは前述のエステート24。会社乗っ取り、支払い遅延、返還請求訴訟、更には代表秋田氏の逮捕、同年10月末には実質的に営業を停止した。不透明取引の疑惑で取引先の名前が取り沙汰された。1年半が経過した現在でも、会社側には一向に法的整理に踏み切る気配がない。

 この事件の最大の被害者は、ある意味でリベルテだったかもしれない。出自を同じくする経営者の不祥事は、同社に対するイメージも著しく損なった。信用不安は14年春にピークを迎える。「手形不渡り」のXデー説が、まことしやかに業界を駆け巡るまでになったのだ。

 14年10月期売上高は50億円に達していたが、これを額面通りに受け取る向きは少なく、支払いの遅れや延期要請は続いていたという。秋以降は、完全な自転車操業に陥っていた。そして今年2月26日、決済不履行となり、2月末に全従業員は解雇され、自己破産申請の手続きへ入ったのだった。

 <企業概要=株式会社リベル>テ
 住所:新宿区新宿5の16の15
 代表:上津 昇司氏
 資本金:5900万円
 年売上高:約53億6800万円
 (14年10月期)
 負債:約17億3000万円

※日刊工業新聞で毎週火曜日に「倒産学」を連載中
日刊工業新聞2015年04月28日 ひと&会社面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
参入障壁の低い業界は倒産も多い。マンションデベロッパーなどもそう。固定買取制度(FIT)の破たんは、当然、民間にも影響する。

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