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TDK、風力発電向けネオジム磁石を中国とタイで生産

成田工場は自動車向けを中心に、磁石事業の収益改善を目指す
 TDKは2016年度内に風力発電設備の中核部材であるネオジム磁石を中国とタイで生産する。欧米風力発電メーカーからの受注拡大で、成田工場(千葉県成田市)が手狭になっており生産移管を決めた。市場成長が期待できる風力発電向けの需要を着実に取り込む。部品事業が好調な一方、苦戦する磁石事業の収益改善につなげる。

 中国の資源開発会社などと設立した磁石製造の合弁会社と、タイの生産子会社を活用する。中国で製造した磁石を、タイに輸送し風力用の形状に組み立てる方向で調整している。

 これまで風力発電設備に搭載する磁石は成田工場ですべてを製造していた。今後、同工場では風力向けは試作開発を担い、自動車用の磁石などをメーンに製造する体制に変更する計画。

 TDKは仏アルストムなど欧米メーカーを中心に足元で風力発電設備300基前後分の受注を獲得しており、今後も受注が増加する見通し。海外拠点を活用し生産効率化を図ることで、磁石を安定供給できる体制を整えることにした。

 TDKの14年度の磁石を含む磁気応用製品事業の売上高は約3700億円と全体の34%を占める。磁石分野では自動車や家電、産業機器向けにフェライト磁石と金属磁石を製造する。
日刊工業新聞2016年4月22日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
金属磁石は希少金属の価格変動が大きく、設備の合理化や減損処理などの構造改革を進めてきたが、風力向けでどこまで収益改善に結びつくかは・・。中国メーカーなどとの競争も激しい。ただアルストムからの初受注は前向きなニュースの一つ。欧州や米国に建設する出力5000キロワット超の洋上風力向けで受注額は4億円前後。 ネオジム使用量を半減する技術も開発しているが、あとは自動車向けなどのボリュームゾーンでどのようにコストコントロールをしていくか。

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