ジェットスター、今期は初の最終黒字うかがう
実現すれば当初予定から1年前倒し
格安航空会社(LCC)のジェットスター・ジャパン(千葉県成田市)の初の黒字化がみえてきた。2015年6月期の当期損益は75億円の赤字。16年6月期に黒字化できれば、当初予定から1年前倒しで達成となる。3―4月に、東京・名古屋・大阪の3都市から国内LCCでは他社に先駆け、フィリピン・マニラ線を就航。国際線による旅客機(機材)の効率的な活用で、収益の拡大を図る。
ジェットスター・ジャパンの上期に当たる15年7―12月期は、旅客輸送力の規模を表す有効座席キロメートルが前年同期と比べて22%、機材稼働時間は10%増加。サービスなどによる付帯収入も国際線の増加で同12%伸びた。機材の有効活用が課題だったが、深夜発の国際線を増便することで全20機の機材を有効活用。主に成田国際空港での駐機を減らすことに成功。有効座席キロメートルが伸長する要因となった。
昼間に国内線を中心に運航し、深夜に日本発の国際線を運航。海外と往復する間に国内空港が離着陸可能な時刻になるのを生かしメンテナンス以外の駐機時間を削減している。使用する機材のエアバスA320型機が航続可能な約4時間半をうまく生かした形だ。
効率的な機材活用のため、国際線は成田国際空港と中部国際空港、関西国際空港の3空港に絞る戦略を続ける。「インバウンド(訪日外国人旅行者)を3都市に集中させ、地方へは国内線乗り継ぎを活用」(片岡優会長)する戦略が、功を奏している。都市間は比較的距離が短く、機材移動が容易という考えだ。一方で、航続可能時間の問題から、九州・沖縄に比べると国際線の就航先が限られる。国内LCCではピーチ・アビエーション(大阪府田尻町)が那覇国際空港から国際線を運行しており、路線拡大の構想も持つ。
インバウンド増加の流れに乗り、国際線の路線拡大を実現するには、いっそうの機材導入が必要だ。ジェリー・ターナー最高経営責任者(CEO)も「次の3年間で現在の20機から、倍増とはいかなくとも徐々に増やしていきたい」と話す。
ただ、導入実現には出資企業である豪カンタス航空や日本航空、三菱商事などの承認が必要。旅客の需要や競合他社の状況を踏まえ、中国や韓国、東南アジアといった航続が可能な4時間半の圏内で、収益性の高い路線を選択していくことが求められる。
(文=安藤光恵)
ジェットスター・ジャパンの上期に当たる15年7―12月期は、旅客輸送力の規模を表す有効座席キロメートルが前年同期と比べて22%、機材稼働時間は10%増加。サービスなどによる付帯収入も国際線の増加で同12%伸びた。機材の有効活用が課題だったが、深夜発の国際線を増便することで全20機の機材を有効活用。主に成田国際空港での駐機を減らすことに成功。有効座席キロメートルが伸長する要因となった。
昼間に国内線を中心に運航し、深夜に日本発の国際線を運航。海外と往復する間に国内空港が離着陸可能な時刻になるのを生かしメンテナンス以外の駐機時間を削減している。使用する機材のエアバスA320型機が航続可能な約4時間半をうまく生かした形だ。
効率的な機材活用のため、国際線は成田国際空港と中部国際空港、関西国際空港の3空港に絞る戦略を続ける。「インバウンド(訪日外国人旅行者)を3都市に集中させ、地方へは国内線乗り継ぎを活用」(片岡優会長)する戦略が、功を奏している。都市間は比較的距離が短く、機材移動が容易という考えだ。一方で、航続可能時間の問題から、九州・沖縄に比べると国際線の就航先が限られる。国内LCCではピーチ・アビエーション(大阪府田尻町)が那覇国際空港から国際線を運行しており、路線拡大の構想も持つ。
インバウンド増加の流れに乗り、国際線の路線拡大を実現するには、いっそうの機材導入が必要だ。ジェリー・ターナー最高経営責任者(CEO)も「次の3年間で現在の20機から、倍増とはいかなくとも徐々に増やしていきたい」と話す。
ただ、導入実現には出資企業である豪カンタス航空や日本航空、三菱商事などの承認が必要。旅客の需要や競合他社の状況を踏まえ、中国や韓国、東南アジアといった航続が可能な4時間半の圏内で、収益性の高い路線を選択していくことが求められる。
(文=安藤光恵)
日刊工業新聞2016年4月21日付 建設・エネルギー・生活面記事