浮体貯蔵設備参入も検討…川崎汽船がLNG船で攻める、100隻規模へ
川崎汽船は液化天然ガス(LNG)船事業で、2030年代半ばにも船隊規模を現在の46隻から100隻規模にする。LNGはアジアの新興国を中心に需要が増えており、川崎汽船は26年までに2500億円を投資して事業を拡大している。また長期定期運航の契約を終了したLNG船を活用した浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)事業への参入も検討する。
川崎汽船は長期安定的な利益が確保できる事業としてLNG船事業を注力事業の一つに位置付け、46隻まで船隊を拡大してきた。現在、長期用船契約が確定している発注残が20隻以上あり、30年には75隻まで拡大する計画だ。
発注残のうち、16隻はカタールの「ノースフィールドガス田生産拡張プロジェクト」での用船契約。足元のLNG船の用船料は新造船の竣工とプロジェクトの遅延が重なり軟調で、新規の投資は難しい市況にある。だが、ドナルド・トランプ米次期大統領が米国の新規LNGプロジェクトの推進を表明しており、27年ごろからは北米のLNGの生産が拡大する見込みで、輸送量と船腹量のバランスが引き締まり、市況が回復するとみている。
川崎汽船は80年代からLNG船事業に参入しており、25年は20―30年の長期用船契約を終了したLNG船が数隻出てくる見通し。船形や設備などは古いものの、海上に係留すれば、タンクやガス化設備などは活用できる。アジアを中心に石炭などからLNGに転換し、脱炭素化を図る動きも加速していることから、事業参入を目指す。
日刊工業新聞 2025年01月06日