稲穂に低温プラズマ、名大が酒米の品質向上を実証
名古屋大学の橋爪博司特任講師、堀勝特任教授らは、稲穂に低温プラズマ処理を施すことで酒米の品質が向上することを実証した。開花後の稲の種子(頴果〈えいか〉)にプラズマを照射したところ、玄米の品質が大きく変化した。猛暑の高温障害によるコメの不作を防ぐ技術として応用が期待される。
酒造りに適したコメの代表的な品種「山田錦」の出穂・開花後、穎果1粒ずつにプラズマを照射して収穫し、日本酒製造で重要となる心白米の含有率(心白歩合)の割合を調べた。すると開花1日後、5日後にプラズマを照射された玄米は心白歩合が減少したが、10日後、15日後に照射された玄米は心白歩合が増加した。愛知県東郷町の試験水田での実証実験で示した。
さらに、人工気象器に温湿度や照度、二酸化炭素(CO2)濃度などの各種センサーとカメラを設置した「スマート・アグリカルチャー・システム」を構築。東郷町での栽培環境を再現して稲を生育し、プラズマ処理を施したところ同様の結果が得られた。
富士通クライアントコンピューティング(川崎市幸区)との共同研究。
日刊工業新聞 2025年01月01日