ヒストリー系CADでモデル作成、知っておきたい重要なコツ
フィーチャー作成の基本(1) ベース形状や重要箇所から作成する
ヒストリー系CADでモデル作成する際の重要なコツが2つあります。そのうちの1つである「ベース形状や重要箇所から作成すること」について解説します。重要箇所とは、例えると「木の幹」に相当します。履歴が後ろに行くにしたがって枝葉の部分が作成されていくようフィーチャーを作っていきます。
なぜ重要なのかと言えば、モデルの履歴を作っていくうえでは、その履歴の「親子関係」が重要になるからです。たとえばフランジ、ねじ穴、キー溝などの寸法は、元をたどればその部品の「ベース形状や重要箇所」を基準に作成することが一般的です。また、このように履歴を作ることで、モデル修正の必要が出てきた場合でも非常に効率的に作業を進めることができます。
なお、「重要箇所」というのは設計においてケースバイケースですが、分かりやすい例をあげると、「チャックの爪」のモデリングであれば「ワークに接触する部分の形状」がその部品にとっての重要箇所だと言えるでしょう。
ロールバックバーで適切な履歴に戻って作業しよう
フィーチャーはベース形状や重要箇所から作成することが重要ですが、実際の設計ではこの手順通りにモデリングが進むことはありません。実際にはモデル作成を少し進めるたびに、装置全体の状況や機能をアセンブリで確認・検討し、場合によってはいったん親フィーチャーの作成段階まで戻るというように手順を行き来することのほうが一般的です。
このように手順を行き来する際は、必ずロールバックバーで適切な履歴に戻って作業してください。ロールバックバーとは、ツリーの一番下の方にある横線のことです。ロールバックバーはマウスのドラッグにより上下に移動することができ、このバーより上にある履歴がモデルに反映され、下にある履歴は反映されないという仕組みです。
このようにロールバックバーを駆使し、最終的に完成したモデルのツリーが、先ほど紹介した手順に沿うようになっていればOK です。
(「これで差がつく SOLIDWORKSモデリング実践テクニック」p.42-43)
<書籍紹介>
ウェブ上でためになる設計のコツを発信する著者によるSOLIDWORKSの実務解説書。3DCADの操作自体はわかっていても、実際の設計現場でうまく使いこなせないという悩みを解決。設計業務で求められる「効率よく形状を作る」「後から編集しやすい」ことを念頭に、3Dモデリングのコツを解説している。
書名:これで差がつく SOLIDWORKSモデリング実践テクニック
著者名:楠 拓朗(りびぃ)
判型:A5判
総頁数:192頁
税込み価格:3,080円
<編著者>
楠 拓朗(りびぃ)
1990年生まれ
2015年に大手生産設備メーカに機械設計職として就職。その後も複数社にて機械設計職として業務している現役エンジニア
2019年、技術ブログ「ものづくりのススメ」を設立する。最高月間42万PV。現在、YouTube・SNS・大手メディア・企業の技術コラムなどでFA業界の技術に関する情報を発信中。企業の製品・サービス開発のコンサルティングも担当している。
<販売サイト>
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4526083577
Rakutenブックス:https://books.rakuten.co.jp/rb/18022322/
日刊工業新聞ブックストア:https://pub.nikkan.co.jp/book/b10094313.html
<目次>
第1章 基本操作・基本設定のテクニック
第2章 スケッチ作成のテクニック
第3章 フィーチャー作成のテクニック
第4章 アセンブリ作成のテクニック
第5章 事例で見るSOLIDWORKSでの設計手順