無人ショベルカー2台、8km先から操作…遠隔工事サービス事業化狙う
中和コンストラクションが工事開始
中和コンストラクション(奈良県桜井市、大浦晃平社長)は、砂防堰堤建設の現場で無人ショベルカー2台を8キロメートル離れた場所から遠隔操作する工事を始めた。米スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」を使い、従来は数百メートルだった現場と操作者の距離を大幅に延ばした。重機に取り付ける操作装置と遠隔地に置く操作システムなどの改良を重ね、2028年頃に装置の製品化や遠隔工事サービスなどの事業化を目指す。
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奈良県十津川村の栗平川の砂防堰堤建設の現場で、堰堤に必要な改良土の製造装置に遠隔操作するショベルカーで土砂を投入し、製造した改良土をもう1台のショベルカーでダンプ車に積み込む。
中和コンストラクションは、遠隔操作技術を開発するORAM(大阪市住之江区)やティー・エル・エス(東京都中央区)、ハシダ技研工業(大阪市平野区)、加藤工務店(愛知県瀬戸市)とともに、国土交通省の「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR)」に採択され、建機の遠隔・自動・省人化システムの実用化に取り組んでいる。
中和コンストラクションが無人重機を遠隔操作する工事は今回が3回目。これまでにショベルカーとダンプ車の計5台の重機を遠隔操作する工事などを実施し、装置やシステムの改良を重ねてきた。
今後、操作装置・システムをさまざまなメーカーの重機や草刈り機、除雪機などにも対応させる計画。国交省の事業を通じて改良を重ね、危険な場所の無人工事や人手不足対策として中小の建設会社でも利用できる製品・サービスとしていく考え。
日刊工業新聞 2024年12月17日