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4月19日16時30分更新【熊本地震・企業動静】各業界の最新情報

富士精工、国内外他工場に切削工具の生産振り替え
4月19日16時30分更新【熊本地震・企業動静】各業界の最新情報

被害を受けた熊本城

【機械】
●カナモト
 熊本地震への対応として、子会社のニシケン(福岡県久留米市)内に「九州地区災害対策本部」を設置した。地方自治体や企業との災害時対応契約に基づいて機材などを供給するほか、公共機関や取引先などの要請にも対応する。復旧工事に向けては、全社的に支援体制も整える予定。
コマツ
 熊本・大分地震の被災地の復旧に向けた支援を始める。被害状況や現場のニーズを踏まえ、建設機械やフォークリフト、発電機などを無償貸与する。義援金も含めると1000万円相当の支援を行う方針。グループ会社であるコマツ建機販売の西日本カンパニー(福岡市)に対策本部を設けて、顧客対応や情報収集などにあたっており、被災した自治体と協力して活動する。
●富士精工
 熊本工場(熊本県大津町)の操業を停止している。生産再開は未定。切削工具などの製品供給は本社工場(愛知県豊田市)や鹿児島工場(鹿児島県霧島市)、海外工場に生産を振り替えて対応する。熊本工場は建物の外壁の亀裂や内部の破損などの被害が発生しており、立ち入りを制限している。また、製造設備も機械が転倒するなどの被害が発生しており、詳細を確認中。地震による業績への影響は不明としている。
●ローツェ
 16日未明に発生した「本震」や余震の影響で九州工場(熊本県合志市)の天井や壁面が崩落したため、九州工場での業務を一部停止した。当面、本社工場(広島県福山市)で搬送機器などの生産を代替する。

【電機】
ルネサスエレクトロニクス
 自動車向け半導体などを生産するルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリングの川尻工場(熊本市南区)で、生産再開日程の検討を始めた。21日をめどに公表する。同工場ではクリーンルーム内の調査を進めている。
●TDK
 フィルム応用製品を製造する三隈川工場(大分県日田市)は通常通り稼働中。16日未明の地震で同工場も停電したが、すぐに復旧した。
●フジクラ
 生産拠点の被害の対策で、本社に重大リスク対応委員会を設置した。電力関係部品のらせん状成形品の製造販売するグループ会社(菊池郡大津町)は建屋が一部損傷し稼働停止中。復旧の時期は未定。耐震診断を行っている。光ファイバ融着接続機と関連製品の製造するグループ会社(山鹿市)は、建物、生産設備ともに影響はなく、通常通り操業。

【自動車】
●中央可鍛工業
 自動車向けなどのアルミ製品や鋳物の切削加工を手がける熊本工場(熊本県大津町)を地震発生を受けて停止し、18日から復旧作業を進めている。本社から18人を派遣しており、稼働再開に向けて作業を急ぐ。
日産自動車九州(福岡県苅田町)
20日以降も稼働を決めた。熊本地震の影響で熊本県のサプライヤーからの部品調達が滞っているが、車種が限定されているため、該当車種を除いて生産を続ける。車種は明らかにしていない。
●九州エフテック(熊本県山鹿市)
 金型と金型部品を生産する本社工場は、地震で建屋の壁に軽微な損傷はあったが、生産活動に支障がないため、通常通り稼働している。外注先の塗装工場が被災して稼働できない分は、他県の塗装工場やエフテック亀山事業所に振り分けて対応している。
●アーレスティ熊本(熊本県宇城市)
 ダイカスト製品を製造しており、一部製品の生産を再開した。工場の建物は一部破損したが、被害は大きくなかった。通常稼働の再開は未定。国内外のグループ工場に生産を振り替えるなどで製品供給を続けている。
●合志テック(熊本県合志市)
 2輪部品・4輪部品・汎用エンジン部品を製造する本社工場は稼働が止まっている。現在、建屋と設備の被害状況を調査しており、再開時期は未定。人的被害はなかった。
●スチールセンター(東京都千代田区)
 2輪車用のスチールケースや鋼板加工品を生産する熊本事業所(熊本県合志市)は、人的被害や大きな物的被害はなかった。取引は現在操業を停止しているホンダ熊本製作所(同大津町)向けが中心だが、同社の他製作所や他の部品メーカーにも製品を供給しているため、事業所の稼働を続けている。
●ブリヂストン
 ゴムクローラや高圧ホースを生産する熊本工場(熊本県玉名市)は生産を再開していない。建屋、設備、従業員に大きな被害はなかったが、余震が続いており、生産活動ができないと判断した。顧客への製品供給は、在庫で対応している。今後の再開は「余震の状況によりけり」(担当者)としている。
●ウエムラテック(熊本県あさぎり町)
 マフラーや4輪車用サンルーフを生産する本社工場は人的・物的被害はなく、正常に生産できる状況。ただ、被災により稼働を中止している顧客がいるため、生産している製品は一部に限っている。合志工場(合志市)は稼働しておらず、設備の被害状況を確認中だ。
●NOK
 Oリング類を生産する熊本事業場(熊本県阿蘇市)は、電力などのインフラ供給が阿蘇地区で滞っているため、稼働を停止している。熊本県内で道路が寸断され、従業員の通勤や物資の輸送に障害が出ている状況。従業員の安全確認は取れており、設備や建物に大きな損傷はないため、可能な部分から復旧作業に取り組んでいる。
トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)
 エンジン生産の苅田工場(同苅田町)と、ハイブリッド車部品を生産する小倉工場(北九州市小倉南区)を23日まで休止する。すでに本社宮田工場は23日までの休止を決めている。熊本地震で熊本県のサプライヤーから素形材部品の供給が滞っているため休止を決めた。24日は休業日。25日以降稼働するかどうかは20日以降の状況を見極めて判断するという。
●ケーヒン
 熊本営業所(熊本県大津町)は、2人の従業員、建物ともに特に影響はないため、稼働して顧客の被害状況の把握に取り組んでいる。
●ニフコ熊本(熊本県合志市)
 人的被害はなかった。樹脂製の自動車内装部品や燃料系部品を製造する本社工場は設備の一部が転倒するなどし、現在稼働を停止中。ニフコグループの他工場へ生産を振り替えている。熊本県山鹿市の山鹿工場は建物・設備ともに被害がなく、稼働している。だが、熊本市内に住んでいる従業員が交通網の被害で出勤できない上、余震が続くため、生産量を調整している。

【医薬・化粧品】
●再春館製薬所(熊本県益城町)
 フリーダイヤルの営業と発送業務を停止している。工場(熊本県益城町)の稼働再開の見通しは立っていない。被害状況の確認を行い、再開に向け整備を進めている。
武田薬品工業
 熊本営業所(熊本市中央区)の施設や人員に被害はない。従業員へは安全確保を指示した。
●テルモ
 熊本の営業オフィス(熊本市中央区)で通常の営業活動を中止し、現地の状況確認、情報収集など震災対応を優先している。通常営業の再開時期は現時点で未定。
第一三共
 熊本営業所(熊本市中央区)への社員の入室を禁止した。営業所内の壁や天井の一部が欠損し、倉庫資材や荷物も落下したため。従業員への被害はない。営業活動については、被災地の状況を見極めながら可能な対応をしている。
●アルフレッサホールディングス(HD)
 一般用医薬品の流通を手がけるアルフレッサヘルスケアの九州物流センター(熊本市南区)が出荷を停止した。余震が続いており、安全を確認中。他県の物流センターからの商品供給を順次始めている。医療用医薬品を担当するアルフレッサの拠点については道路事情などで一部に商品供給遅延の恐れがあるものの、通常の営業体制をとっている。

【食品】
●熊本製粉(熊本市西区)
 熊本工場(熊本市西区)と合志米粉工場(熊本県合志市)の生産ラインを停止中。安全確認や情報収集を行っており復旧時期を検討している。

【化学・素材】
王子ホールディングス
 熊本県に義援金1000万円を贈り、被災自治体へ支援物資として事業会社の王子ネピアからトイレットペーパー、ボックスティッシュ、紙おむつ、ウエットティッシュなどの衛生用品、王子コンテナーから段ボールなど復旧関連資材の提供を始めた。
●東京応化工業
 阿蘇工場(熊本県阿蘇市)は引き続き停電中。本社の対策本部で、生産再開に向けた点検・調査を続けている。
富士フイルム九州(熊本県菊陽町)
 14日から生産を停止。再稼働に向け設備などを確認している。在庫の出荷や他工場での代替生産により供給への影響を抑える。ただ余震の頻発や交通網の混乱を受け、一部に納期遅れの懸念が出ている。

【印刷】
凸版印刷
 包装材・パッケージ工場(玉名市)は18日午前に生産を復旧した。ただ、一部の追加工程の機器が動いておらず、確認中。

【金融】
●東京センチュリーリース
 熊本県に拠点がなく直接的な被害はない。福岡営業部(福岡市博多区)が顧客の被災状況を確認中で、顧客からの相談があれば丁寧に対応している。グループ会社の日本カーソリューションズの中九州支店(熊本市中央区)は多少の被害はあるものの、社員などには無事のため、業務を継続。同じくグループ会社のニッポンレンタカーサービスは熊本県内に5営業所ある。熊本空港の営業所は一部被害を受け、実質休業状態にあったが19日に通常営業を再開した。熊本駅白川口は隣接するホテルに倒壊の危険性があるため当面は休業。熊本駅新幹線口は営業時間を8-20時に短縮し営業。ほかは通常営業している。
●野村ホールディングス
 野村証券熊本支店は店舗被害なく、通常通り営業中。社員やその近親者も被害なし。九州地方の他支店も同様に被害なし。
●日本損害保険協会
 熊本地震で被災した契約者に対し、各種の相談窓口を設けた。地震保険に関する問い合わせはそんぽADRセンター(0570・022808)へ。また、災害救助法が適用された地域で家屋の紛失などで保険契約の確認が難しい場合は、契約の確認も協会が行う。詳細は自然災害損保契約照会センター(0570・001830)へ。いずれの問い合わせ先も平日9時15分-17時までだが、当面は土日祝日も対応に応じるという。
日刊工業新聞電子版2016年4月19日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
代替生産の動きも出始めています。

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