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成長領域に農薬・電子材…住友化学、売上高3-4割増やす

成長領域に農薬・電子材…住友化学、売上高3-4割増やす

事業戦略を説明する松井正樹専務執行役員(左)と水戸信彰専務執行役員

住友化学は4日、2030年度に向け、成長領域と位置付ける農薬関連部門と電子材料関連部門の売上高をそれぞれ3、4割程度引き上げる方針を示した。農薬関連は新規農薬の拡販や天然物由来の農薬などで成長を見込む。電子材料関連では半導体向けの高純度ケミカル(精密洗浄に用いる化学品)などに加え、後工程向け材料での上積みを目指す。両部門での事業拡大を加速し、持続可能な成長に弾みを付ける。

農薬などを担う「アグロ&ライフソリューション部門」の30年度売上高は、24年度予想比約3割増の8000億円を目指す。また、25―30年度に計2700億円の投資を計画する。

一方、半導体材料などを担う「ICT&モビリティソリューション部門」は30年度の売上高を同約4割増の8500億円と設定した。25―30年度の投資計画は計3000億円を想定する。

農薬関連で期待をかけるのは、殺菌剤「インディフリン」と新規除草剤「ラピディシル」だ。インディフリンは市場投入から数年で数百億円の事業規模に育っており、30年度に向けてさらに倍増を目指す。ラピディシルはアルゼンチンで農薬登録を取得。米国やブラジルなどでも順次、登録取得が広がるとみる。30年度までに数百億円規模の販売を想定している。

天然物由来の農薬などの「バイオラショナル」の成長も期待される。アグロ&ライフソリューション部門を統括する水戸信彰専務執行役員は4日の事業戦略説明会で「バイオラショナルはいかに多くの剤を開発していくかが重要」と述べた。

一方、半導体関連では次世代対応のフォトレジスト開発や、高純度ケミカルの供給体制強化などを推進する。インドへの拠点進出なども検討する。後工程材料は30年度に向けて売上高200億―300億円規模に育てる考えで、工程内クリーナーや放熱材料などが軸になると見込む。

ICT&モビリティソリューション部門を統括する松井正樹専務執行役員は4日の説明会で、30年度に向けて「先を見据えた手を打っていきたい」と意気込みを示した。


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日刊工業新聞 2024年12月5日

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